射止めたのは…

□第二話
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時間が過ぎるのは早い。



最後の時間はホームルームで、今日の内容は自分でテーマを決めてそれを調べてまとめる宿題が出された。

因みに私は幕末に生きていた女性をテーマにしようと思ってる。



そのテーマを調べるために私は放課後、本日二回目の図書室へと来ていた。


「えっと、幕末、女性…」

日本史コーナーで関連していそうな本を探す。



インターネットで調べる方が早いとは思うけど、それだとなんかなぁ…


載っていそうな本を手にして中を読んでみては本棚に戻す。

この動作を何回かしていると良さそうな本があり、それを借りることにした私は受付に向かう。



受付に向かえば司書の先生が座っていた。
私に気が付いてくれた先生は優しい笑顔を浮かべてくれた。



「巴川さんが放課後に来るなんて珍しいわねぇ」

「今日は二回目なんです。少し調べたいことが出来たので」

そう言って、お願いしますと本を差し出す。


先生が貸し出し作業を進めている受付カウンター。
そこに一冊の単子本が置いてあった。



「巴川さん、どうかした?」


慌てて単子本から視線を外して、なんでもないですっ、と手を振る私に、フフッと笑顔を浮かべた先生は、


「その本が気になったんでしょう?
その本、私が来たときにはもうここにあったのよ」

手続きが終わって、私に本をはい、と渡してくれた。
お礼を言って受け取った私は、



「…忘れ物、ってことでしょうか?」

首を傾げる。


「そうねぇ。
昼休みに受付に入ってくれてた子のだとは思うんだけど…」

誰か分からないのよ、と先生は困ったような表情を浮かべた。


お昼休みに受付に入ってたのって黒子くんだよね。
それじゃあこの本は黒子くんの忘れ物?


「先生、よければ私が持ち主の方に届けます」

「あらっ、誰か分かるの?」

「はい、多分黒子くんだと思います。
お昼休みに受付で貸し出ししてもらっているので…」


私がそう言えば先生は、あぁ、黒子くんね。と目尻を下げて笑った。
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