射止めたのは…
□第五話
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瞬きを何度しても、目の前には汗を流している伊月先輩。
でも少し顔の位置が近い気が…
今の自分の状況がいまいち掴めなくて困惑している私の耳に、
「………ちょっと伊月くん、なにやってるの」
「…二人は仲が良かったんだなぁ」
声のトーンが明らかに低くなっている監督さんと、驚いたような声の木吉先輩の声が届いた。
「…あの態勢は仲が良いとかそんな問題じゃねぇーだろっ」
日向先輩がなぜか顔を赤くしながら、こちらに勢いよく指差しをした。
日向先輩に指摘され、自分の状況を確かめてみると、
「……っ?!」
驚きで声が出なかった。
私は、伊月先輩が座った状態で抱き留められるようにして支えられていたから。
えっ、えっ?
なにがどうなってこんな状況にっ?
頭が真っ白になっている私をゆっくりと立たせてくれた伊月先輩は、
「えーっと、…ケガとかしてないか?」
「…あっ、はい」
大丈夫です。そう言った私に、ホッとしたような顔を見せて、
「あー、良かった」
と、笑ってくれた。