射止めたのは…
□第八話
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黒子side
駅にかかっている時計を見てカントクは、
「そろそろ時間ね、みんな揃った?」
「あー、黒子いなくね?」
「…ボクならここにいます」
ずっと前からいましたよ。と呟いたボクの声は、みなさんの驚きの声でかき消されてしまった。
仕方のないことですが、いつになったら慣れてもらえるんでしょうか…
「相変わらず影うっすいな、お前」
「相変わらず目立ちますね、君は」
「オレがいつ目立ったんだよっ?!おい、黒子っ!」
隣で騒いでいる火神くんはほっときましょう。
「火神ー、ここ駅だからもうちょい静かにな」
伊月先輩に注意されグッ、と口を噤んだ彼にみんなが呆れた中、
「なー、木吉。その紙袋なにが入ってんのー?」
「コガはなんだと思う?」
いや、知らねーよ。と呟く小金井先輩に笑って、
「実はな〜、ばぁちゃんおすすめのどら焼きなんだよ」
「どら焼き?」
なんでどら焼き?と呟くボク達にカントクは、
「今日は無理を言って道場を貸してもらうんだもの。そのお礼ってことで鉄平に和菓子でも買ってくるように頼んどいたのよ」
でもまさかどら焼きを買ってくるとは…。そう呆れたカントクやボク達の様子を気にせず、木吉先輩はニコニコと笑っている。
「いや、だってばぁちゃんに相談したら有名などら焼き屋の名前が出てきたんだよ」
仕方ないだろ〜、と笑いながら言う木吉先輩に、最早誰もツッコまなくなっていた。
…それにしてもどら焼きって和菓子なんでしょうか?
そう疑問に思ったけど後の祭り、何も言わないように口を閉じた。