Many colors
□第1Q
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本日は快晴
まさに部活勧誘日和だ
この日を待ち侘びていたと言わんばかりの部活が通路を占領している
どの部も新入部員を集めるために必死だ
その人混みの中をどんどんすり抜けて行く一人の少年
本を片手にすいすいと進んでいく
彼は本に向けていた目を案内ブースに向けて、また戻した
どうやら目的地を見つけたようで
すると何やら懐かしい香りがした
甘くて、温かみがあって、安心するそんな不思議な香り
彼は何かに弾かれたように顔を上げると辺りを見回した
人、人、人、人…
黒「気のせい、ですね」
あの人がこんなところにいるはずない、そう小さく呟き、彼はまた目的地へと足を進めた