白くて黒い
□もう、いいよって。
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ゆさゆさ、と揺れる葉を目の前にして気に座っている私。
もう、いいかなって。
もう、いいよって。
言ってほしかった。
ああなる前に止めてほしかった。
この木はとても立派だ。
年輪は多いし、この土地にどっしりと構えていて。
過去に見た木の中で一番なのかもしれない。
ふわり、と気から飛び降りた私はふらふらときゅう、ときつく結んだ口をゆっくりと開く。
「なんて理不尽なセカイ」
その言葉は空気の中を漂わずすぐに騒音によって抹消される。
街を歩けば怪訝そうな表情で視線を向けてくる、
森に行くと動物たちは私に興味を持っては避けていく、
どこに行けば私という存在が認められるのだろう。
私に居場所なんてないのだろうか
ふらふら、と気の向くままに歩いていくと見えてきたのは不思議なお屋敷。
こういうところに住んでいる人とは関わりたくない。
そう思い、私は踵を返したが飲み物も食べ物もろくに口にしていなかった私はその場に崩れ落ちるように倒れた。
ただ、左手首の飾りがキラリと光った。