Clapping
□赤ずきん
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「じゃあ、キミを食べるのはやめよう♦」
その言葉にナマエは「ヒソカは私を食べたりしないって知ってるよ」と、笑いました。
ヒソカは続けます。
「でも、その代わり、」
「その代わり?」
ナマエはまたこてんと首をかしげました。
「ボクのことは誰にも言っちゃいけない♠
約束だよ♣
もし、ボクのことを誰かに話したら、」
ヒソカはナマエの耳に唇を寄せ、言いました。
「キミのこと食べちゃうから♥」
「うん!いいよ!」
ナマエは大きく頷きました。
あまりにも、快く承諾されたのでヒソカは驚きました。
「キミ、ボクの言っていることわかってるのかい?」
「わかってる、わかってる!
だから、はい!指切りしよ?」
笑って、その小さな小指を差し出すナマエに、仕方がないと肩をすくめてヒソカは小指を立てました。
ナマエはヒソカの小指に自分の小指を絡めて言います。
「指切りげんまん、嘘ついたら針千本のーます!
指切った、ちゅー」
謎の擬音語とともにナマエは自分の親指とヒソカの親指を引っ付けました。
「誓いのキスだよ」
ナマエはエヘヘと笑いました。
すると、ヒソカは「ナマエ、キスはこうするんだよ♦」と言って、ナマエにキスしました。
ナマエは顔を真っ赤にして言いました。
「赤ちゃんできちゃうよお」
真っ赤なまま、不安な顔をしました。
その顔がヒソカにはたまらなく面白いのでした。
「できないよ♠」
笑いながら、ナマエの頭を撫でました。
「ほんとに…?」
ナマエは不安げな目でヒソカを見上げました。
「ほんと♣」
ヒソカは笑いながらそう言って、今度はナマエの額にキスをしました。
また、ナマエは顔を真っ赤にします。
「キミは素直ないい子だね♦
だから、今日はもう帰ろう♠
お母さんたちが心配するよ♣」
「…うん」
ナマエは俯いて返事をしました。
その顔にはさっきまでの元気がありません。
そして、意を決したように顔を上げ、ヒソカに訊ねました。
「明日も会える?」
ヒソカは少し考えてから答えました。
「会えるよ♥」
すると、ナマエの顔がパッと明るくなりました。
「ほんと!?約束だよ!」
「うん、ほら、指切り♠」
今度はヒソカが小指を差し出しました。
ナマエはヒソカの小指に自分の小指を絡めました。
「指切りげんまん、嘘ついたら針千本のーます♣
指切った、ちゅー♦」
そして、ヒソカが歌を歌い、誓いのキスもちゃんとしました。
ナマエは笑って、ヒソカから降りました。
「じゃあね、ヒソカ、また明日」
ヒラヒラとナマエは手を振りました。
「ナマエ、ボクが森の外まで送ってあげる♠」
「やったあ!ヒソカ、ありがとう!」
そう言って、ナマエはヒソカに飛びつきました。
ヒソカはナマエを抱きあげ、立ち上がりました。
「しっかり、掴まっててね♥」
「うん!」
ナマエはヒソカの服をしっかりと掴みました。
それを待って、ヒソカは走りました。
すると、もう森の外に出ていました。
ナマエは目を丸くして言いました。
「ヒソカは足が速いんだね!」
「さ、降りて♣」
「えー!もう少し抱っこしてほしいー」
ナマエは頬を膨らませて、言います。
「ワガママ言うと、明日遊んであげないよ?」
ヒソカがそう言うと、ナマエはしぶしぶヒソカから降りました。
「じゃあ、また明日ね!」
「うん、明日♦」
今度こそヒソカはナマエと別れました。