Clapping
□初詣カオス
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結局、綿菓子と金平糖、ペロペロキャンディーにベビーカステラ、焼そば、いか焼きなど、露店中の食べ物を買ってから、人気のない境内の端に2人は腰を下ろした。
「えっと、私の念能力だよね?」
綿菓子に口を埋めながら、ナマエはヒソカに訊いた。
ヒソカはにこりと笑って、頷く。
「話してくれるかい?」
「もちろん。
私の念能力、イージークラフト【神の悪巧み】は、空間を切って張り付ける、あるいは、空間そのものを造り出す能力なの。
だから、瞬間移動もお手のもの!
あっちの国からこっちの国とかもできちゃうんだ。
まあ、能力がデカイから、その制約と誓約で、1年の内10日間つまり、240時間しかあの山から離れられないんだけど。
それ以上離れたら、死ぬって制約なの」
ヒソカの顔に驚きの色が混じるのを見て、ナマエは自嘲気味に笑う。
「外の世界に出ていられるのは残り9日。
ごめんね。デートなかなかできないね」
「そんな顔しないでよ♠」
今にも泣き出しそうな苦しい笑みを浮かべるナマエの頬に手を添える。
「ボクはキミと同じ時間を過ごせるだけで幸せだよ♥」
「そう言ってもらえると、スゴく嬉しい」
ナマエは頬にあるヒソカの手に自分の手を添えてにこりと笑う。
「あっ!だからね、これあげる!」
ナマエは鞄をから何かを取り出して、ヒソカの手に握らせた。
ヒソカは手を開けてみる。
「鍵?」
「うん。我が家の鍵だよ。
これでヒソカの好きな時に会いに来て。
私は迂闊に外、出れないから。
使い方は、その辺のドアの鍵穴に差し込んで、回して抜いて、そのドアを開けるだけ。
それで我が家に来れるよ」
「まるで、監禁してるみたいだね♣」
ヒソカがクスクス笑う。
「広い檻だから文句ないよ。
森の中で秘密基地でも作って待ってるよ」
子どものようにナマエも笑う。
「私を囚えてもいいのはヒソカだけだよ」
頬を染めながら、へにゃりと笑うナマエの頭を撫でながら、ヒソカは言った。
「それはボクも同じさ♦
キミになら、囚われてもかまわない♠」
「フフフ。ほんと、その癖かわいいね」
ナマエの笑顔が幸せそうに弾ける。
ヒソカはナマエの言葉に首を傾げる。
「癖?ボクにはよくわからないんだけど…♣」
「教えてよ」と目で訴えるヒソカに、ナマエはイタズラな笑みを浮かべて首を振る。
「教えないよ、ヒソカだろうと。
神様にだって教えてやるもんか。
私だけが知ってればいいことだもん」
そう言って、ナマエはヒソカに軽く口付ける。
「じゃあ、食べ物調達して帰りますか」
ナマエは立ち上がり、砂を払う。
ヒソカは眉をひそめた。
「まだ買うの?」
「うん。3ヶ月分の食糧をね」
にこりと笑って、ナマエは「ギミック発動」と唱えた。