Clapping
□初詣カオス
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2人が飛んできたのは、どこかの倉庫だ。
「マルコース!!あけおめー!!」
だだっ広い空間に、ナマエの声が響く。
「ナマエ、ここはどこだい?」
ヒソカは辺りを見渡しながら、訊いた。
「ここは見ての通り倉庫。
どこかまでは覚えてないけど。
いつもここで3ヶ月分の食糧と生活用品の受け渡しを行うの」
「よお、ナマエ。3ヶ月ぶりだな」
1人の男が奥から出てきた。
「今年は男付きか?」
男はヒソカを見て、ニヤリと笑う。
「いい男でしょ?」
ナマエはにこりと笑う。
ヒソカもナマエを抱き寄せながら、にこりと笑った。
すると、男の顔に恐怖の色が濃く現れた。
ヒソカは殺気など漏らしていないのにだ。
「お、おい、こいつ…ヒソカじゃないか!!?」
「あれ?知り合い?」
たとえ、男が恐怖しても、ナマエから笑顔が消えることはない。
「ボクは知らないなあ♠」
ヒソカも笑顔のままだ。
しかし、男の顔から恐怖が消えない。
「ナマエ、お前こいつの正体知らないのか!?」
「ヒソカはヒソカで、私の彼氏だよ?」
ナマエはヒソカを見て、男を見た。
「こいつは大量殺人鬼なんだぞ!!
裏では有名だ!!」
ヒソカは自身の腕に力がこもるのがわかった。
ナマエだけは失いたくない。
その思いに突き動かされていることも。
「で、だから?」
ナマエの顔色は何1つ変わらない。
ずっと笑顔のままだ。
「だからってお前…!」
「だって、好きになっちゃったんだもん。
仕方ないじゃん。
てか、好きのレベル通り越して、もう溺愛?
ヒソカになら殺されてもいい。
むしろ、そっちの方がいいかも。
ほら、言うじゃん。
お前百までわしゃ九十九まで。
共に白髪が生えるまでって」
ナマエの言葉にヒソカも男も驚く。
「ナマエ…♥」
これだから、キミが愛しくてたまらない♣
ヒソカはナマエの頬にキスをする。
「くすぐったいなあ」とナマエは笑う。
男は呆れて頭(こうべ)を垂れた。
「ほんと、お前ってヤツは…。
ほら、食糧はこっちだ…」
「マルコス、サンキュー!」
ナマエとはマルコスのあとに続いた。
「ほら、いつも通り言われた物を集めておいたぜ」
そこにはコンテナが6つ。
「おいくらですか?」
ナマエは首を傾げる。
「全部で1530万だ。
わかってると思うがキャッシュでだぞ」
「OK」
ナマエは鞄から鍵を取り出した。
「ドアはあそこだ」
男は事務所らしき所を指差す。
ナマエはヒソカから離れ、そこに行って、鍵を入れて回す。
「食糧庫」
ナマエがそう言って、ドアを開けると、がらんどうの白い空間にアタッシュケースが置かれていた。
ナマエはアタッシュケースを取ってきて、マルコスに渡した。
マルコスはアタッシュケースを開けて、中身を確認する。
「1600万あるけど、お釣りはもらっておいていいんだろ?」
マルコスはナマエを見上げて言った。
「もちろん。じゃあ、取引成立と言うことで、ギミック発動」
6つのコンテナが消えて、白の空間の中に現れた。
それを確認してナマエはドアを閉めた。
「そろそろ夕飯の時間だからお暇するね」
ヒソカの隣に戻ったナマエはマルコスに向き直って言った。
「じゃあ、3ヶ月後な」
「バイバイ」
ナマエは手を振って、「ギミック発動」と唱えた。