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□蝶と暗殺者
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「結構、バッサリいくわね」
何ともないような声にゼノは慌てて振り返った。
マハも物影から驚愕の表情で、女を見る。
くり貫かれた場所をまじまじと女は見ていた。
「肋骨も見事に破壊かあ。坊や、やるわね」
くるっとゼノの方を振り返った女の顔は満面の笑み。
胸の穴からはボタボタと血が流れ出ている。
「な、何なんだよ…!?」
凝をして見ても、念らしきモノは一切ない。
驚きと恐怖が混じった声がのどから漏れた。
「さあ?私にもわかんない。
とにかく、まだ生きてるから、もう1人の方も攻撃どうぞ」
肩をすくめて、女は笑う。
マハはその言葉を受け、物影から出た。
「わしはマハ=ゾルディック。
そやつはわしの孫、ゼノ=ゾルディックじゃ。
おぬしは何者じゃ?」
「私?私はナマエ。特技は何でも。
殺しも医術も化学も、なんでも得意。
あっ!料理も得意なんだけど、晩ごはん食べてく?」
ケロッとして答えるナマエに、マハは笑った。
「ほっほっほっ、面白いのお。
心臓なしでも、動けるなんざ…」
言葉を切ったマハの表情に、ゼノはゾッとしてナマエの傍を離れた。
鋭い眼光でマハは何とも不吉な笑みを浮かべて言った。
「化け物の類いじゃわい…!」
その瞬間、膨大なオーラを纏いマハは、ナマエに攻撃を仕掛けた。
ナマエは為すがままその攻撃に飲まれた。
さすが、ジッちゃん!すげえ!
12歳のゼノにはマハの圧倒的な攻撃に、ナマエが反応できていないように見えた。
パチパチパチ
ゆっくりとした拍手が隣から聞こえ、ゼノは慌てて飛び退いた。
そして、そこにいる人物にまたもやゼノは声を漏らした。
「なんで…そこに…?」
「いやあ、あなたのおじいちゃん強いから見物しようと思って出てきた」
笑う女。そこには抜き取られたはずの心臓が…。
「な、なんで…」
ガクガクと全身を震わし、後ずさるゼノにナマエは優しく笑った。
「でも、飽きたからご飯にするわね」
ナマエはパチンと指を鳴らした。
その途端、ゼノの意識は反転した。