Access

□理由は自分で考えて
1ページ/2ページ


「ナマエ、ごめんよ…♠」

ヒソカはカンカンに怒ったナマエに頭を下げた。

「なんで私が怒ってるか、わかって謝ってる?」

涙を溜めたナマエは依然として怒っている。

「………♣」

ボクは正直、なぜナマエが怒っているか、わからない。
一体全体、何があったのだろう…?

「沈黙が答えね。もういい」

ナマエはクルリとヒソカに背を向けた。

「ナマエ!」

ヒソカは慌てて手を伸ばすが、その手は空(くう)を掴んだ。
バタンと大きな音を立てて、扉が閉まり、ガチャリと鍵をかけられる始末。
ポケットから鍵を取り出して、鍵穴に差し込むが、一向に開く気配がない。
どうやら、念によって封じられているようだ。
…ヒソカは家から閉め出されてしまった。

ナマエと恋人になってしばらく経つが、今までこんな風に怒られた事などなかった。
ヒソカのやる事には、寛容なナマエ。
ましてや、閉め出されるなんて露にも思ってなかった。

何がいけなかったのか…。
今日も青い果実探しを早々に切り上げて、帰ってきた。
しかも、お土産にとケーキを買った。

「…ねえ、ナマエ♥
一体、ボクが何をしたって言うんだい?」

「理由は自分で考えて!」

ドアを隔てた向こう側で、ナマエは大声を張り上げる。

「そう言うけど、ホントにわからないんだ…♦」

「わからないんだったら、口動かしてないで、頭動かしたら?」

冷たいあしらいを返すナマエがドアから遠ざかっていく音がした。

ドアの外側に取り残されたヒソカは1人ため息を吐いた。
と、その時。

「ひどい扱いだな」

「クロロ!?どうして、キミがここに…!?」

嘲るような声の主にヒソカは驚いていた。
なぜなら、彼がヒソカの家を知るはずなどないからだ。

「さあ?理由は自分で考えたらどうだ?」

ナマエと同じことを言って、クロロはヒソカを嗤(わら)う。

「まったく、ヒソカはナマエを怒らせる名人だね」

新たに現れた声の主にヒソカはまた驚く。

「イルミ!?キミまで、どうして…!?」

「ヒソカはさ、頭使えないの?
理由ぐらい自分で考えたら?」

無表情な顔を傾げるイルミ。
突然現れたこの2人にヒソカは混乱するばかり。

「一体、何がどうなっているんだい?」

「だから、頭を使いなって」

ヒソカの問いにイルミは呆れて、肩をすくめた。

「本当に何もわかっていないのか?」

クロロが怪訝な顔をして、ヒソカを見た。

「だから、何をだい?」

「どうして、ナマエが怒っているか、だ」

「それがわからないから、こうして悩んでいるんだろ?」

ヒソカはやれやれと肩をすくめた。

「…仕方ないから、大サービス。
ナマエは誰が何をして、どうなったら怒ると思う?」

イルミがまた無表情な顔を傾ける。

「ナマエが怒る理由はただ1つだ。
お前も見ただろう?
あの時のナマエの怒りよう」

クロロは苦笑を漏らしながら、付け足す。

「…わかったよ♦
ナマエがボクの何に怒っているのか♥」

ヒソカは真面目な顔をして、2人を見た。
2人は渋い顔をして、肩をすくめる。
その2人に苦笑を残して、ヒソカはドアを開けた。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ