Anniversary

□Lonely Christmas!?
1ページ/12ページ


寒さの勢いが増す中、クリスマスは近づいていた。
暗い空間にパソコンの光に照らされた1つのシルエット。
白い髪に白い肌、血のように紅い瞳と唇。
ジャージ姿の女が画面の前に座っていた。

「ふう…」

ナマエは1人、パソコンの前に座って、温かいロイヤルミルクティーで一息ついていた。
画面には文字と数字の羅列。
それをスクロールしながら、ぼんやりと眺める。
と、その時、電話が鳴った。

「もしもーし、どちら様?」

『わし、ネテロ。
どうじゃ、来年の予想図はもうできそうか?』

ナマエがパソコンで行っていた作業は、来年の国家や対象人物の行動を予測するという作業だ。

「うん、まあ、順調。
来年の11月の下旬辺りまで作り終えてる」

『世界中のネットワークを覗くのは疲れるじゃろ』

「当たり前じゃん。
もう首と肩がガチガチよ」

この予想図を完成させるためには、全ネットワークのハッキングが欠かせない。
ここ何日かはずっとパソコンの前にへばりついている。

『どうじゃ、明日、わしとデート』

ネテロが言い終わる前にナマエは返事をした。

「しない。今、忙しいの。知ってるでしょ?」

『しかし、息抜きも大事じゃ。
久しぶりにお主と"遊び"たいのじゃが…。
どうする?』

『遊び』と言う言葉に含みを持たせたアクセントにナマエは笑みをこぼす。

「うーん、そそられるね、ソレ。
じゃあ、"遊び"に行こうかな」

『楽しみにしておるぞ』

電話の向こうでネテロが楽しそうに笑う。

「あっ!ところでさ。
今年のハンター試験、なかなかの曲者がいたようね」

ナマエはマウスを操作し、ある資料を引っ張り出した。

『うむ。ヒソカじゃろ?』

「そうそう。その子。
その子にも"遊んで"もらえば?
今、集めた資料読んでるんだけど、かなり面白そうだよ」

ナマエは口元に妖しい笑みを浮かべる。

『あやつと"遊ぶ"元気なんぞ、もうないわい。
お主なら程よく手加減してくれるじゃろうが、あやつは容赦ないからの』

ネテロの困った顔が電話越しに伺える。
ナマエはクスクスと笑った。

「天空闘技場では『休みがちな死神』って通り名がついてる。
うーん、いい戦歴ね」

ナマエはヒソカの戦歴を見て、感心した。

『ちなみに、お主の予想では来年もハンター試験を受けそうか?』

ヒソカという人物に危機感を持っているネテロはナマエに聞いた。

「100%、確実に受ける。
てか、もう受付済ましてるよ」

ナマエはケタケタ笑って答えると、『そうか…』と、困っている声が返ってきた。

「対策さえ練れば大丈夫だと思うけど?
私と同じタイプみたいだし、できるだけ退屈させないことが試験をスムーズに進める鍵だよ」

ナマエが笑いを噛み殺しながら、アドバイスを送った。

『あやつを退屈させないことほど難儀なことはない…。
手伝ってくれぬか?』

「ヤダ」

ナマエは速答した。

『なぜじゃ?
あやつは面白そうなんじゃろ?』

ネテロの問いかけにナマエはクスリと笑った。

「そんなの決まってんじゃん。
気分だよ、気分。
強いて言うなら、試験会場に行くの、めんどい」

『やれやれ、仕方ない…。
こっちで何とかするわい。
では、これで失礼するとしよう』

ナマエの脱力した声にネテロは完敗し、電話を切った。

「さてと、続き…やりますか」

ナマエは大きなあくびを漏らして、パソコンに向き直った。
その時にはもう日付は変わっていた。
今日は12月24日。クリスマスイブだ。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ