Anniversary
□I don't know what she really wants.
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窓から光が漏れ、ヒソカの顔を照らす。
その眩しさで目が覚めた。
隣のナマエは朝日に背を向けているため、その眩しさを知らずに寝ている。
今日はホワイトデー。
バレンタインのお返しをする日だ。
前々から何が欲しいか、探りを入れている。
しかし、ナマエは尻尾を見せてはくれず、「ヒソカと一緒なら何でもいいよ」の一点張りだ。
仰向けになって、考えを巡らせる。
ナマエの言葉は嬉しいのだが、対応に困る。
付き合う前は、あのバッグが欲しいとか、あそこのケーキが食べたいとか、リクエストをくれていた分、余計にだ。
バレンタインにやらかしてしまったから、その挽回もしたいのにと、ため息をついたヒソカは、ダメ元でナマエに訊いてみた。
「ホワイトデーのお返しは何がいいんだい?」
「ヒソカとの時間かな〜」
クスクスと笑うナマエに、ヒソカの目は一瞬見開かれる。
「起きてたのかい?」
首だけを動かして、ナマエを見る。
「ヒソカが眉間にしわを寄せているとこ辺りからね」
しれっとそう言うナマエの顔は、悪戯な笑みを浮かべている。
「最近、キミに弄(もてあそ)ばれている気がするのは気のせいかい?」
「さあね」
苦笑するヒソカの問いに、ナマエはまたしれっと笑う。
ヒソカはこの悪戯な笑みを付き合う前は知らなかった。
付き合って数ヵ月が経つが、顔を真っ赤にしたり、悪戯な笑みを浮かべたりするナマエの二面性に、まだ慣れない。
何しろ大抵は顔を真っ赤にするのだから。
すると、ヒソカの心を読んだように、ナマエがポツリと呟いた。
「たまには、私が優勢でもいいじゃん…」
「それは」
ヒソカは「どういうことかな?」と続けたかったが、ナマエに唇を塞(ふさ)がれた。
「いっつもヒソカのペースだから、たまには、私のペースでもいいかな〜って」
唇を離したナマエが顔を赤くしながら笑う。
だが、もうこの反応をしている時点で、ヒソカのペースになるフラグが立っている。
「クックックッ、キミのペースだって?
そんな風になるわけ…」
くるりと体勢を変えて、ナマエを組敷く。
「ないだろ?」
ヒソカはニヤリと笑って、驚いた顔にキスを落とした。