Anniversary

□張り切りました!
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パァン!!!

趣味で人殺しをしていると、この手の音には敏感になってしまう。
ヒソカは耳に音が届くや否や、バンジーガム【伸縮自在の愛】を張りながら、腰を低くした。
家の玄関で。

「ハッピーバースデー!」

陽気な声と舞い散る紙吹雪。
顔を上げると、ナマエのニッコリ笑顔。

我ながら、笑えるね♠

肩をすくめて立ち上がると、ナマエが不思議な顔をしている。

「なんでしゃがんだの?」

と、訊いた瞬間、答えがわかった。

「もしかして、銃声と間違えた?」

ニヤリと笑うナマエは普段察しが悪いのに、こういう時だけ勘が働く。

「キミには敵わないよ♣」

やれやれと苦笑するヒソカに、ナマエはしめた!と指を鳴らした。

「ヒソカってときどき面白いね」

「キミは毎日面白いよ♥」

30cmほど差がある頭を撫でると、ナマエは頬を膨らした。

「もしかしなくても、バカにしてるでしょ?」

「心外だな♦褒めてるのに♠」

「だって、ヒソカ嘘吐くもん。
そういう風に笑ってる時なんて、特に怪しい…」

ジッーと見つめてくるナマエに、「それより」とヒソカは話題をそらす。

「この飾り付けはなんだい?」

家中が赤や黄色の紙テープで彩られている。
テーブルの上にはいつにも増して豪華な食事。

「まさか、自分の誕生日に自分で飾り付けをしたのかい?」と首を傾げるヒソカの肩を苦笑したナマエが叩いた。

「あれ見て」

指差された方向を見ると、横断幕があった。
そこには。

「Happy Birthday Hyskoa…?」

色とりどりのアルファベットを読んで、今日が6月6日だと思い出した。
そして、少し驚く。

誕生日なんて教えてないのに…♣

ニコニコ笑って自分を見上げるナマエをぎゅっと抱き締めた。

自分の情報はあまり世に出回っていない。
調べるのは骨が折れただろう。
この飾り付けも、料理も、すべて、手が込んでいる。

これがナマエでなければ、何か企みがあるのではと疑っているが、何せナマエは単純一途な強化系。
嘘など吐いてもすぐに顔に出てしまう。

だからこそ、わかる。
この全てが自分のために準備されたものだと。
わかっているから、頬の緩みがとまらない。

「ナマエ、ありがとう♥」

「お誕生日おめでとう、ヒソカ。
生まれてきてくれてありがとう。
付き合って、初めての誕生日だから張り切った」

ニッコリ笑うナマエに手を引かれ、ヒソカは靴を脱いで、家へ入った。
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