幻惑の蝶

□Episode7
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「ただいま〜」

サブリナは手を振りながら、ヒソカとイルミの待つ部屋に入ってきた。
すると、イルミが叫んだ。

「そんな格好するな!!」

「ふえ?」

サブリナはすっとぼけた声と顔をした。
今日はしっかりとバスローブを着ている。

「もうちょっとはだけててもいいんじゃない?」

ヒソカはクスクスと笑った。

「えー、文句ならリッポーに言ってよ。
あいつ、ドライヤーを準備してなかったんだもん。
服濡れるのイヤだったから、シャワー室にあったバスローブ借りた。
ま、それだけだから、とりあえず三次試験クリアしようよ」

そう言ったサブリナに、イルミはつかつかと歩みよって抱き締めた。

「どーかした?」

サブリナはイルミを見上げた。

「ヒソカに見せたくない」

イルミが相変わらずの無表情で言う。
その言葉の裏を知ってか知らずかサブリナはクスクスと笑った。

「もう手遅れよ」

イルミの耳元でそう囁いて、イルミの腕を抜け出す。
その言葉にイルミは耳を疑った。

「それは、どういうこと!?」

慌てて、サブリナの背中に質問を投げたが、サブリナはクスクスと笑ってイルミに言葉を返した。

「ちなみに、キルアとゴンにも見られたよお」

「な、何を!!」

イルミの珍しく驚いた顔がサブリナは面白かった。
そこにドアノブに手をかけたヒソカの声が飛んできた。

「ねえ、そろそろゴールしてもいいかい?」

「あっー!待ってよ!」

サブリナはドアに向かって走る。

「あっ!話は終わってない!」

イルミはそのあとを追いかけた。
ヒソカはドアを開けて、部屋に入った。
バタバタと足音がして、サブリナが飛び込んで、そのあとにイルミが続く。

『受験番号44番、2時間31分30秒、77番、2時間31分42秒、301番、2時間32分2秒に合格!!』

「ちえっ、ヒソカが1番じゃん」

サブリナは頬を膨らませた。

「キミがボクを無視して、イルミとイチャつくからだよ♣」

ヒソカはクスクス笑ったかと思うと、サブリナをバンジーガム【伸縮自在の愛】で引き寄せ、抱き締めた。

「はーなーせー」

サブリナは子どものようにバタバタ暴れるがヒソカはバンジーガム【伸縮自在の愛】を解除せず、クスクスと笑う。
そこに、慌てて出てきたイルミが加わる。
3人が絡まりあって、床に転ける。
その状況は3人の子どもが取っ組み合っているよう。

「離せってば!」

「ダーメ♥」

「殺す!」

髪と服が乱れても、お構い無しで3人は転げ回り、暴れまわる。
ふと全ての動きが止まる。
そして、お互いが顔を見合わせて、誰かが吹き出した。
それを皮切りに笑いが次々と生まれる。

「ク、クク、アハハハハハ!
2人とも髪の毛くしゃくしゃ!
ヤバい!横隔膜痛い!」

サブリナはお腹を押さえて笑う。

「そう言うキミはバスローブがはだけて大変なことになってるよ♦」

笑い転げるサブリナにはヒソカの言葉は聞こえていない。
イルミが慌てて、サブリナを歩み寄り、バスローブをきちんと着せる。
その間、サブリナはイルミを見て、「貞子みたーい!」と大笑いをしていた。
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