幻惑の蝶
□Episode8
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《ジリリリリリリリリリリリリリリリリ》
けたたましい音が鳴り響いて、サブリナはハッとした。
慌てて本から顔をあげるとそこには30人ほどの受験生がいた。
『ただいまをもって、三次試験を終了いたします。
合格者人数28名内1名死亡。
また、次の試験方法を少し調節しています。
しばらくお待ち下さい』
うーんと、サブリナは伸びした。
と、手が何か柔らかいモノに触れる。
振り返って驚いた。
「ずっと抱っこしてたの!?」
ニコリと笑ったヒソカがいた。
「キミは抱き心地が最高だからね♥」
サブリナはその言葉を曲解した。
「やっぱり?
ちょっと肉ついたか…少し調節しないと…」
「ボクはどんなプロポーションでもキミが好きだよ♦」
本気かどうか怪しい発言に、サブリナは取り合わず、太ももやお腹を触っては、脂肪の付き方を心配していた。
「それより、そろそろ着替えない?
不特定多数の男にその格好を見られるのはイヤだな♣」
不敵な雰囲気を醸し出しながら言ったヒソカの言葉にサブリナは自分が未だにバスローブのままだと気付いた。
「立ちたいんだけど、ガム、外してくれる?」
「そんなのとっくに解除してるよ♠」
ヒソカに離してもらったサブリナは立ち上がっり、バスローブに手をかけた。
「まさか、ここで脱ぐ気じゃないよね♣」と、ヒソカは慌てて立ち上がり、サブリナをとめる。
「大丈夫」
全員の視線が集まる中、サブリナはニコリと笑って、バスローブを脱いだ。
途端、紅い蝶が舞い、サブリナを包む。
「さてと、どうしようか…」
腕を組み、歩く。
その足には靴がなく、ヒタヒタと床を撫でた。
「靴はローファーで…」
蝶が足に集まり、靴に変わる。
コツコツと音を立てて歩く。
行ったり来たりを繰り返しているが、なかなかいい案が思い浮かばない。
「うーん…やっぱ、服考える面倒…。
うーん……………」
ぶつくさ言いながら、眉間にしわを寄せて行ったり来たり。
「あっ!そうだ!」
何か思いついたのか、ポンッと手を叩いた。
その途端、蝶が散った。
その中から現れたサブリナの服装は白い着物に紅い帯、黒の草履。
「キミは本当にすばらしいね♥」
ヒソカは笑った。サブリナも笑う。
「服なんて着てるようで着てないんだよね、実は」
カタカタカタカタカタカタカタ
奇妙な音がした方を振り返ると、ギタラクルに変装したイルミがいた。
「うわあ…やっぱり、それキモい…」
思いっきり怪訝な顔をしたサブリナにイルミの表情は暗くなった。(と、いっても大して変わりはないが)
その後ろにサブリナは顔見知りの2人を見つけた。
「キルアー!!ゴーン!!」
イルミを押し退けて、サブリナは2人に駆け寄った。