幻惑の蝶
□Episode9
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「では、三次試験を合格した順に上陸してもらいます。
次の人が上陸するのは前の人が上陸してから2分後です」
それを聞いて、ヒソカはすんなりサブリナを離した。
それがあんまりすんなり過ぎたので、サブリナには逆に疑わしかった。
絶対、裏があるよね…。
うん。
「じゃあ、行ってくるよ♣」
「いってらー!」
疑いの目でサブリナはヒソカを見送った。
その2分後、サブリナは恐る恐る島に降りたが、何も起きなかった。
ふうと一息つく。
「よし、じゃあ、始めますか!」
サブリナはニコリと笑って、自分の腕に手をかけた。
そして、人形の腕をもぐように自分の腕を取った。
受験者は皆、息を飲んだ。
鮮血が噴き出すがサブリナは気にする様子もなく、「これだけで足りるかな?」と、取った腕を見ながら空に投げた。
腕は空中で形を変え、幼い少女となって舞い降りた。
その姿はまるで、サブリナを子どもにしたようで、お揃いの格好だった。
ニコニコ笑って、サブリナを見上げている少女の頭を撫でながら、サブリナは言う。
「あなたは今から降りてくる人から番号札をもらってね。
素直に渡してくれない場合は殺す以外の手段で強奪。
もらったあるいは奪った番号札は死守すること。
食べ物は人間と同じ物を食べて。
じゃあ、私はヒソカを探しに行くから、全部回収したら合流して」
「りょかいしました、ますたー!」
その言葉にサブリナは苦笑した。
言葉がカタコトだけど、発声器官に細胞をまわせないのよね。
なにせイルミが相手になるかもしれないから、戦闘能力重視でいかないと…。
「そこに散らばった細胞は好きに使って。
あっ!あと、私のプレートもお願い」
胸についていたプレートを片腕で器用に外して、少女に渡す。
「りょかいでしゅ」
ニコニコ笑いながら、少女はそれを受け取った。
「じゃあ、後はよろしくね、サブリナ」
そう言い残して、サブリナは消えてしまった。
サブリナと呼ばれた少女は、船の方に向き直る。
「できれば、みなちゃんをきずつけたくないのれ、おとなちくばんごうふだをわたちてくだしゃい」
そう宣言して、少女はサブリナが残した血溜まりに手をかざした。
すると、血溜まりが形を変え、大きな鎌になった。
「しぇんたくはまちがわにゃいでくだしゃい」
そう言って、少女はニコリと笑った。