幻惑の蝶
□Episode13
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と、その時、奥の扉が開いた。
「ふぁ〜、よく寝た…」
なんと、サブリナが出てきた。
しかも、ボサボサの髪に白衣、その下にはジャージだ。
「サブリナ、おはよう!
3人とも来てるよ〜」
シズルがサブリナに声をかける。
「さいですかぁ」
サブリナの声は完全に寝惚けている。
サブリナは椅子に座ると机に突っ伏した。
「うーん、まだおねむのようね」
その様子にクスクスと笑うシズルにゴンは訊いた。
「ええっと…どっちが本物?」
「そりゃあ、寝惚けてる方に決まってるじゃない♡」
「じゃあ、あれは?」
首を傾げたゴンが本を読んでいる方を指差す。
「あれは念。と、言っておくわ」
含みを持たせたシズルの言葉に、キルアとヒソカは好奇心を燻(くすぶ)られた。
意味深な言い方…。裏があるのか?
表情を崩さないように、気をつけているがまだまだ修行が足りないキルアに、疑惑の色が浮かぶのを見て、シズルはほくそ笑む。
さすが、ゾルディック家のお坊っちゃま。
だけど、まだまだ。
ゴンもさすが、ジンの子だよね。
あなたは私の言い回しに気付いている。
そうでしょ、ゴン?
ジンと一緒で、かすりはするけど、響かなければ、気にとめない。
だから、気付いた事に気付かれない。
やっぱり、親子ねえ…。
この2人、かなり面白い。
でも、1番は…。
シズルは斜め後ろにいるヒソカに目を向けた。
ホント、サブリナには驚かせれてばかりだなあ♠
ダブル…のような気がするけど、何かが違う…♣
ヒソカはのどの奥で笑いながら、2人のサブリナを見つめる。
もう、能力の仮定に入ってるぐらいかな?
やっぱり、いいわね♪
だからこそ、シズルは声をかけた。
「ヒソタン、気になる?」
「もちろん♦
だって、ボクはサブリナが好きだからね♥
彼女のことは1つ残らず知っておきたいんだ♠」
どこまで、本気かわからないヒソカの言葉に、ゴンとキルアは驚いて、ヒソカを見た。
「それって、やっぱり、恋愛感情の好き?」
「決まってるだろ?」
「だったら、前途多難よ」
真面目な顔をして答えたヒソカを見て、楽しげに、そして、満足げに笑うシズルは、どこかヒソカに似ていると2人は思った。
「それより、サブリナの片想い候補って誰なんだい?」
「ん〜、まず、あなたでしょ?
次に、貞子。んで、オモシロ劇団の団長」
シズルはクスクス笑う。
「貞子にオモシロ劇団の団長って…意味わかんねーよ」
キルアが難しい顔をして、シズルを見た。
「だから、みんなで謎解きするんでしょ?
ネテロもタヌキだけど、サブリナもなかなかよ?」
「そーいう、シズルもね」
いつの間にやらこっちに来たサブリナが呆れた声で言った。