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□理由は自分で考えて
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「ナマエ、ごめんよ…♠」
ヒソカはカンカンに怒ったナマエに頭を下げた。
「なんで私が怒ってるか、わかって謝ってる?」
涙を溜めたナマエは依然として怒っている。
「………♣」
ボクは正直、なぜナマエが怒っているか、わからない。
一体全体、何があったのだろう…?
「沈黙が答えね。もういい」
ナマエはクルリとヒソカに背を向けた。
「ナマエ!」
ヒソカは慌てて手を伸ばすが、その手は空(くう)を掴んだ。
バタンと大きな音を立てて、扉が閉まり、ガチャリと鍵をかけられる始末。
ポケットから鍵を取り出して、鍵穴に差し込むが、一向に開く気配がない。
どうやら、念によって封じられているようだ。
…ヒソカは家から閉め出されてしまった。
ナマエと恋人になってしばらく経つが、今までこんな風に怒られた事などなかった。
ヒソカのやる事には、寛容なナマエ。
ましてや、閉め出されるなんて露にも思ってなかった。
何がいけなかったのか…。
今日も青い果実探しを早々に切り上げて、帰ってきた。
しかも、お土産にとケーキを買った。
「…ねえ、ナマエ♥
一体、ボクが何をしたって言うんだい?」
「理由は自分で考えて!」
ドアを隔てた向こう側で、ナマエは大声を張り上げる。
「そう言うけど、ホントにわからないんだ…♦」
「わからないんだったら、口動かしてないで、頭動かしたら?」
冷たいあしらいを返すナマエがドアから遠ざかっていく音がした。
ドアの外側に取り残されたヒソカは1人ため息を吐いた。
と、その時。
「ひどい扱いだな」
「クロロ!?どうして、キミがここに…!?」
嘲るような声の主にヒソカは驚いていた。
なぜなら、彼がヒソカの家を知るはずなどないからだ。
「さあ?理由は自分で考えたらどうだ?」
ナマエと同じことを言って、クロロはヒソカを嗤(わら)う。
「まったく、ヒソカはナマエを怒らせる名人だね」
新たに現れた声の主にヒソカはまた驚く。
「イルミ!?キミまで、どうして…!?」
「ヒソカはさ、頭使えないの?
理由ぐらい自分で考えたら?」
無表情な顔を傾げるイルミ。
突然現れたこの2人にヒソカは混乱するばかり。
「一体、何がどうなっているんだい?」
「だから、頭を使いなって」
ヒソカの問いにイルミは呆れて、肩をすくめた。
「本当に何もわかっていないのか?」
クロロが怪訝な顔をして、ヒソカを見た。
「だから、何をだい?」
「どうして、ナマエが怒っているか、だ」
「それがわからないから、こうして悩んでいるんだろ?」
ヒソカはやれやれと肩をすくめた。
「…仕方ないから、大サービス。
ナマエは誰が何をして、どうなったら怒ると思う?」
イルミがまた無表情な顔を傾ける。
「ナマエが怒る理由はただ1つだ。
お前も見ただろう?
あの時のナマエの怒りよう」
クロロは苦笑を漏らしながら、付け足す。
「…わかったよ♦
ナマエがボクの何に怒っているのか♥」
ヒソカは真面目な顔をして、2人を見た。
2人は渋い顔をして、肩をすくめる。
その2人に苦笑を残して、ヒソカはドアを開けた。