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□Red Red Red
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映画の一件以来、ヒソカとナマエは週1、2回のペースでおでかけをしている。
そんなこんなで1ヶ月が経ったある日、バイト先でこんな話題が出た。





お昼のピークは過ぎ、ナマエは皿を洗っていた。
ピーク時の名残である皿がシンクに山積みだ。
まだまだ終わりそうにない。

「1人?手伝おうか?」

「お願いしまーす」

先輩の言葉にあっさり乗っかる。
さすがにこの量を1人でやっていくのは無茶だ。

「ねえ、ナマエ、あのイケメンの彼とはどういう関係なの?」

「へ?」

キョトンとするナマエに先輩はクスリと笑う。

「ほら、この前の赤毛の彼よ」

ヒソカのことかと、ナマエは笑う。

「友達ですよ」

「まだ友達!?」

「先輩!!!」

驚いた先輩が手を滑らせて落とした皿をナマエがキャッチ。
冷や汗を垂らしたナマエは手にした皿を泡の中に滑り込ませた。

「ねえ、ナマエ」

「はい、何ですか?」

真面目な顔をした先輩に、ナマエもその顔になる。

「彼、スッゴくいい男よ?
優しそうだし、服のセンスもいい。
それに…」

「イケメン?」

「そうよ!
あなた、彼氏いないんだし、あんな上物件逃がすと次はないわよ。
いらないなら、私がいただいちゃおうかな〜」

目を輝かせた先輩にナマエは、呆れたように困ったように、小さく口角を上げた。

「いいですよ、別に。
私、そんなことしている場合じゃないので。
大学もバイトも忙しいから、おざなりな関係になりそう…。
だから、今はやめておきます」

真面目に手を動かしながら、ナマエは答えた。
答えながら、心にチクリと刺さったモノが何かを考える。

「…もしかして、前にそんなことあったの?」

少し間を置いて、先輩が訊ねてきた。
この人は察しが良いのやら悪いのやら。
ナマエは苦笑して「ええ」と頷く。

「…なんだか、ごめんね」

気まずくなった空気に、先輩はナマエに詫びを入れた。

「いえ、大丈夫ですよ」

ニッコリ笑って、これ以上話すなという雰囲気を醸し出す。
それに従って、先輩は黙って手を動かしてくれた。
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