Anniversary
□鬼の勝利
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ナマエがシャワーから戻ると、先にシャワーを浴びていたヒソカがベッドに座っていた。
その手には赤い鬼の面。
「それは見ての通り、鬼のお面。
豆買ったら、ついてきた」
面に目を落としていると、影と声が降ってきた。
顔を上げると、ナマエの顔があった。
「何に使うんだい?」
「豆撒きの時に誰かが着けて、その人に豆を投げるの。
小さい頃、父さんが鬼役になって襲いかかってきたっけ…。
豆が1個も当たらなくて、捕まってこちょこちょの刑とかされたなあ」
昔を思い出してクスクス笑うナマエ。
「そんなに楽しかったかい?」
「うん、楽しいかったよ」
ナマエはニッコリ笑って頷いた。
「なら、もう一度豆撒きをしようか♦
今度はボクが鬼になるよ♠」
ヒソカのニッコリ笑顔に、ナマエは大きく頷いて、豆を取りに行った。
そして、バタバタと戻ってくる。
その間に鬼の面をつけたヒソカは言う。
「ただ豆撒きをしても、面白くない♣」
「え、じゃあ、どうするの?」
ニヤリと笑うヒソカに首を傾げるナマエ。
「ボクに豆が当てられたら、お願いを1つきいてあげる♦
ただし、当てられずに捕まったら、お仕置き♥
なんて、どうだい?」
「OK!何、お願いしようかな〜?」
あそこのケーキに行ってみたいけど、服も欲しいなあ。
ナマエはもう勝った気である。
「ククククク♠
よし、じゃあ、スタートだ♣」
その言葉を合図にナマエは「鬼は〜外!」と、ヒソカに豆を投げつけた。
ヒソカはそれらをバンジーガム【伸縮自在の愛】で全て弾き返した。
「念能力アリなの!?」
「もちろん♦」
笑うヒソカは仕掛けてあったもう1つのガムを発動させる。
「!!?」
吸い寄せられるようにナマエの体がヒソカの方に移動していく。
ナマエはガムの力に逆らうが、部屋を壊してはいけないという思いがあるためオーラを全開にしてはいない。
何せ、ナマエは強化系。
へたにオーラを使うと、絶対何かを壊してしまう。
「あっ!」
一瞬、オーラを緩めたせいで、ガムの力に負けてしまった。
「捕まえた♥」
「卑怯だよ!」
ニコリと笑うヒソカに、ナマエは頬を膨らませた。
「なら、特別にチャンスをあげよう♠
今から出すクイズに正解できたら、やり直してあげる♣」
妖しい笑みを湛えたまま、ヒソカはナマエに提案した。
「よし、こい!」
負けず嫌いのナマエはもちろんこれに挑戦する。
「ボクはいつキミにガムを着けたでしょうか?
1、キミが豆を取りに行って、帰ってきた時♥
2、ルールを設定している時♦
3、豆撒きを開始した時♠」
「う〜ん…2?」
難しい顔をして、ナマエは首を傾げた。
しかし、ヒソカの口角はより一層つり上がった。
「ブッブー、ハズレ♣
正解は4、キミがお父さんと豆撒きをした話をしてる時でした♥」
「それ、選択肢になかったよ!」
「おや?ボクは選択式なんて言ってないよ♣」
白々しく事実を述べるヒソカに、ナマエは「そうだけど…」と口をつぐんだ。
「さて、お仕置きタイムだね♥」
「ケチ!!」
ニコリと笑うヒソカをキッと睨み付けてナマエは叫んだ。
「…いつも通りより、少し長めにしようと思っただけなんだけど、その一言で気が変わった♦
朝までじっくりたっぷりお仕置きしてあげるよ♥」
黒々しい笑みを浮かべたヒソカは、ナマエを横抱きにしてそう宣言した。
それには、ナマエも恐怖を隠せない。
ベッドに降ろされたナマエは、真上にいるヒソカを見つめた。
「ククククク♠
さあて、どこから攻めようかな♣」
鬼の面の下でヒソカが笑う。
「ひいっ」
小さく悲鳴を上げて、身をすくめたナマエにヒソカはお仕置きを開始した。