Anniversary
□I don't know what she really wants.
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すっかりヒソカのペースに乗せられて、ナマエはいいように弄(もてあそ)ばれた。
それなのに。
「キミは幸せそうだね♠」
「えっ、だって、狙い通りだから!」
グッと親指を立てて、ナマエはニカッと笑った。
「ボクとヤるのが目的だったのかい?」
「違ーう!」
ニヤニヤと笑うヒソカに、ナマエは顔を真っ赤にして頭を振った。
「ヒソカとのんびり過ごすのが目的!」
ブッスーと頬を膨らませて、ナマエは枕に顔を埋(うず)めた。
「欲しいって言ったじゃん。
ヒソカとの時間…」
ヒソカの方を向いて、ナマエは続ける。
「確かに、高級レストランで美味しい物食べるのもいいけど、ああいう所って肩凝るんだよね。
遊園地とかもいいけど、絶対雌豹の巣だもん」
「ボクの目にはナマエしか映ってないよ♥」
「私がイヤなの…」
甘い言葉に流されないナマエの目は何かを訴えている。
「何がイヤなんだい?
あっ!ボクとのお出かけか…♣」
「違う!そうじゃなくて…」
しゅんとした声のヒソカの言葉を否定するナマエ。
その声は言葉尻になればなるほど小さくなる。
「ちゃんと言わなきゃわからないよ♣」
ニヤリと笑うヒソカに、ナマエは赤い頬を膨らませた。
細い隙間から覗く黄色の目は、悪戯モードに入っている。
しかし、それを切り換えるスイッチをナマエは持っていない。
たぶん、今日のこの顔が一番赤い…。
そう思いながら、ナマエは目を伏せた。
「ああ、もう…!
ヒソカが他の人の目に触れるのがイヤなの!
自分がこんなに独占欲強いなんて、知らなかった…!」
ガバッーと布団を頭までかぶって、ナマエは叫んだ。
その様子にヒソカは吹き出した。
「クク…アハハハハ!
ほんとにキミはかわいいなあ♣」
ポスポスと布団の上から、ナマエの頭を軽く叩く。
「こうなるから、言いたくなかったの!」
からかい口調のヒソカに、ナマエは布団の中で喚いた。
「ナマエ♦」
布団の中でへそを曲げているナマエはごろりとヒソカに背を向ける。
「ナマエになら、独占されてもいいよ♠」
その言葉にナマエは布団から目だけ出して、「エヘヘ」と笑った。
「私もヒソカになら、独占されてもいいよ」
額にキスを落とされて、ナマエは嬉しそうに笑った。