Clapping

□赤ずきん
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その帰り道、ナマエはお花畑を見つけました。

「お花いっぱいだー!」

辺り一面、花だらけ。
ナマエは夢中になって花を摘みました。
突然、ガサゴソと何か動く音がしました。
ナマエは手を止めて立ち上がり、じっと辺りを見回しました。

すると、木の陰から1匹の狼が出てきました。
狼は草花に埋もれて見えないのか、ナマエに気付くことなく、スタスタと歩いて行きます。
ナマエはその狼がなぜか気になりました。
そして、気付かれないように、そろりそろりと後を追います。

狼が花畑から抜けるその時、人間の姿に変身しました。
ナマエは嬉しくなって、思わず草むらから飛び出し、狼男に飛びつきました。
狼男は驚きながらも、ナマエを受け止めました。

「狼男さん!
ねえ、狼男さんなんでしょ?」

狼男の胸から顔を上げて、ナマエは叫びます。
狼男はナマエを抱きかかえながら座り、訊ねました。

「キミはどうしてボクの正体を知ってるのかな?」

「おばあちゃんが話してくれたの!
森には狼男さんがいるって!
そしたら、あなたが変身するところを見ちゃったの!」

ナマエは嬉しそうに答えます。
狼男は少し驚いた顔をしましたが、すぐ元の表情に戻りました。

「キミ、名前は?」

「ナマエ!
狼男さんの名前は?」

「ボクの名前はヒソカ♥
よろしくね、ナマエ♣
ところで、キミはとても美味しそうだね♠
食べてもいいかい?」

ヒソカは舌舐めずりして、訊ねました。
ナマエはにこりと笑って言いました。

「嘘はダメだよ、狼男さ…じゃなくて、ヒソカ!
ヒソカは優しいっておばあちゃん言ってたよ。
だから、ヒソカは私を食べたりしないよ」

自信満々にそう言うナマエを見て、ヒソカは笑いました。
すると、ナマエは突拍子もないことを言いました。

「いけめんだあ!」

その言葉にヒソカはまた吹き出しました。

「その言葉もおばあちゃんに教えてもらったのかい?」

クスクスと笑いながら、訊ねました。

「うん!
いけめんって、カッコいい人のことを言うんだよ!
カッコいい人は笑顔が素敵な人なんだって。
お母さんが言ってた!」

ニコニコ笑うナマエは、ヒソカを面白いと思わせる子どもでした。
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