Clapping
□初詣カオス
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2人は昼食を済ませ、大きな神社に来ていた。
「うわっー!相変わらず、すごい人!」
見渡す限り人、人、人。
この神社は有名な神社なので、大勢の人がいる。
その濁流のようなうねりの中、2人は本殿へと進んで行く。
「ねえ、お参りは後にしない?」
バンジーガム【伸縮自在の愛】で、ナマエと自分を引っ付けながら、ヒソカが言った。
「ダメ!ちゃんと挨拶してからじゃないと!」
ヒソカがバンジーガム【伸縮自在の愛】で繋いでいることを知らないナマエはヒソカの腕をぎゅうっと抱き締めている。
「ナマエ、胸当たってるよ♠」
「ヒソカだからいい」
ナマエはにこりと笑って、ヒソカを見た。
「そんなにボクを欲情させたいのかい?」
ニヤリと笑うヒソカにナマエもニヤリと笑う。
「かもね」
「帰ったら、覚悟してね♥」
「頑張って逃げるもーん」
笑って挑発するナマエは知らない。
ヒソカの念能力バンジーガム【伸縮自在の愛】のことを。
「あっ!そろそろだよ」
そうこうしている内に2人は本殿に着いた。
ナマエは一礼して、鈴を鳴らした。
そして、財布から10ジェニー玉を取り出して、賽銭箱に投げ入れる。
今度は2回、頭を下げて、2回、手を叩く。
去年も1年間見守っていただき、ありがとうございました。
今年もよろしくお願いします。
今年はヒソカと一緒に幸せな一年を過ごせますように。
祈願を済ませ、また一礼をしてナマエは脇に退く。
ヒソカもナマエに倣って、同じ動作をする。
2人はまた人の濁流に入っていった。
「帰りぐらいズルしてもいいよね」
そう言ったナマエはヒソカの腕をしっかり掴んで、「ギミック発動」と唱えた。
一気に濁流を抜け、露店が並ぶ所に2人は脱出した。
ここはまだ人が少ない。
と、言ってもかなり賑わっている。
「ナマエ、そろそろキミの能力を教えてくれないかい?」
「うん、いいよ〜。
でも、その前に!!」
ナマエはリンゴ飴の屋台に向かって、ダッーと走り出した。
「おじちゃん、イチゴ飴頂戴!」
小さな子どものようにニコニコ笑って、店主にイチゴ飴を頼むナマエ。
やれやれと肩をすくめ、ヒソカはその後ろ姿を見ている。
「嬢ちゃん、今年も来たのかい?
ほらよ、200ジェニーだ」
「あっ!2つ頂戴」
「じゃあ、1つオマケでやるよ。
毎年買ってくれてるお礼だ」
ニカッと笑った店主に「ありがとう」と、お金を渡してナマエはヒソカの元へ戻った。
「あげる」
1つ自分の口に入れて、ナマエはもう1つをヒソカに差し出す。
「ありがとう♣」
それを受け取り、ナマエの頭を撫でると、その笑顔は一気に咲く。
この顔がたまらないんだよね♦
今すぐ、歪めたくなる…♠
ヒソカはナマエを抱き締め、唇を重ねた。
離す間際、ペロリとナマエの唇を舌でなぞる。
「甘いね♣」
「イチゴ味だよ」
はにかみながら、ナマエは笑った。