Clapping
□隣の夜会
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4人はなんやかんやとご飯やお酒を注文すると、ナマエに積もり積もった疑問を投げつけた。
「ねえ、彼氏としてヒソカってどうなの?」
第1投はマチだ。
間仕切りで顔や仕草は見えないが、声はシャルナークたちに聞こえている。
そのことはシャルナークたちも気になっていたので、気配を殺して、隣の席の話に耳を傾ける。
「ヒソカ?優しいよ」
「はあ?優しい?」
あり得ないと言いたげな、パクノダの声が聞こえてきた。
それについては男4人も同感だ。
『ヒソカが優しい?』
シャルナークが怪訝な顔して、首を傾げた。
『そんなわけないだろ!』
フィンクスが否定の声をあげる。
「うん、そうだよ。
クレバーでクレイジー。でも、優しい。
あの1ヶ月でそれに気付いた、プラス好きになった。
だから、今度は私から告白したんだ。
『じゃあ、1ヶ月が過ぎてボクのこと好きになってたら、今度はキミから告白して♠』って言われてたし、もうヒソカ以外考えられないから…」
「エヘヘ」とナマエが笑った。
「じゃあ、もしかして、アレも待ってくれてたりした?」
第2投目はパクノダだ。
「アレって何??」
ナマエはこういう隠語に鈍かったりする。
「えっと、アレって言うのは…」
マチの声を最後に、隣の席がしーんと静かになった。
『ナマエ、照れてるね』
小さな声でフェイタンが笑う。
「って、ナマエ!
オーラ抑えて、溢(あふ)れてる!!」
パクノダの慌てている声とナマエのオーラを感じて、男4人は笑いを禁じ得ない。
強化系のナマエが、持っているグラスの酒でも増やしたのだろう。
「だって……。
あの、えっと、待ってくれたよ、ちゃんと」
真っ赤になっているナマエを4人は容易に想像できる。
バタバタと慌てている様子を音で見ながら、4人は肩を揺らした。
「で、どんな感じ?激しい?優しい?」
第3投目のシズクはナマエにとって爆弾だった。
「あう…ヒソカとのアレは………なんていうか………その…………」
消え入りそうな声で聞こえてくる。
ナマエがモジモジしているのが、手に取るようにわかる。
「だから、オーラ!!!」
パクノダの声がまた響いた。
「あっ!ごめん……」
「シズクもナマエを追い詰めるな!」
マチがシズクを叱責している。
「え〜、気にならない?」
が、シズクはどこ吹く風だ。
「ならないこともないが………ともかく、追い詰めるな!」
『やっぱり、気になるよね』
シャルナークが肩を揺らしながら、囁いた。
『んなもん、気にならねーよ』
フィンクスがグビッとジョッキを呷る。
『それは嘘ね。フィンクスはぜたいナマエのセクスを想像したね』
ニヤニヤと笑いながら、フェイタンはフィンクスを見た。
『フィンクスは変態だからな』
そこにノブナガも便乗する。
2人からニヤニヤ顔で見られ、フィンクスは怒った顔になる。
『オレをアイツと一緒にするな!』
『シッ!静かに!』
シャルナークの注意が入って、3人は黙った。
「えっと、両方かな?
ちょっと、強引だったりするけど…基本的には優しくて……でもなんか………」
「激しい?」
シズクの声にナマエはこくりと頷いた。
と、間仕切りの反対側で男たちは思った。
「ねえ、思ってたんだけどさ。
ナマエってヒソカと付き合う前に誰かと付き合ったことあるのかい?」
マチの問いかけにナマエは「ううん」と首を振った。
「そういうのイマイチわかんないんだよね」
ケタケタとナマエが笑う。
『ねえ、これって暗にヒソカと付き合う前は処女かどうかってこと聞いてねーか?』
ノブナガがみんなに同意を求めて、視線を巡らせる。
『たぶん、そうだろうね。
ま、ナマエが処女ってのは、見てたらわかるよね』
シャルナークが頷きながら、肴を口に入れた。
『きっと、初(うぶ)な反応が見れたんだろうな…』
『やぱり、フィンクス、変態ね』
ぼやくフィンクスを見て、フェイタンがからかった。
『うるせー!
あの純朴なナマエを…』