幻惑の蝶

□Episode10
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3人は近くの喫茶店に入り、キルアとゴンはオレンジジュース、サブリナはコーヒーを注文した。

「2人とも念の修行は順調?」

「うん!とりあえず、纏はできるようになったよ」

「こいつ、纏しかできないくせに、念能力者と戦って大怪我したんだぜ」

呆れた声でサブリナに報告するキルア。
ゴンは照れ臭そうに頭を掻いた。

「相変わらず、むちゃくちゃね…」

サブリナもキルア同様、呆れた。

「サブリナは何してたの?」

ゴンが質問したタイミングで、注文した物が来た。
サブリナは注文したコーヒーに砂糖を3杯とミルクを大量に入れ、カフェオレに変えた。

「それ…砂糖入れ過ぎじゃね?」

キルアが驚いて、サブリナのコーヒー、いや、カフェオレを見た。

「苦いの飲めないんだよね」

「アハハ」と笑ってサブリナはカフェオレを一口飲んだ。
そして、深く息をついて、2人を見据えた。

「…私はネテロとの賭けに勝って、念能力を教えてもらえることになった。
で、2人と一緒に修行しようとここに来たんだけど、さっきの連中に絡まれちゃって」

そこで言葉を切り、やれやれと肩をすくめた。

「あっ!この劇的な様変わりは、私の中のドラゴンと人間のDNAを分けたから。
つまり、二極化に成功したの。
今の私は正真正銘の人間だから、今2人と戦ったら、いい勝負よ」

ニコリと笑うサブリナに2人はどう反応するか戸惑った。
サブリナはそんなことは気にせず、カップに口をつける。

「ま、この体が壊れたら、中間…つまり、生物兵器に逆戻りなんだけどね」

悲しみが込められた瞳で、サブリナは笑う。

「ところで、2人は何でこの街に?」

2人の居心地の悪そうな表情を見て、サブリナは別の話題を提示した。

「金儲けと修行のためだよ」

そう答えてキルアはジュースを飲んだ。

「ああ、じゃあ、天空闘技場に登ってるんだ」

「ここの名物だもんね」とサブリナもコーヒーを飲んだ。

「うん!今、200階まで登ったんだ!」

ジュースなんて、とっくに飲み干したゴンが得意気に答えた。

「じゃあ、私もそこまで登れるわね」

サブリナもコーヒーを呷った。

「んじゃ、キルアたちの師匠に会いに行こうか。
ここは私が払うね」

サブリナは伝票を持って立ち上がった。

「あっ!オレたち、その師匠に会いに行こうとしてたんだ!」

ゴンが大きな音を立てて立ち上がった。

「おい、待てよ!オレ、まだ…!」

慌ててジュースをのどに流し込んだキルアも、2人の後に続いた。
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