a lethal dose of toxicant

□a drop
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私はビールの缶を呷った。
が、すでに空っぽになっていた。
私は立ち上がり、冷蔵庫へと足を向けた。

その時、何かに引っ張られた。
凝で見てみると、ヒソカのバンジーガム【伸縮自在の愛】がついていた。
これだから、ヒソカといる時はホルダーを手放せない。
私はホルダーから、ナイフを取り出し、バンジーガム【伸縮自在の愛】に当てた。
ナイフが触れた途端、引っ張る力がなくなった。

「ククククク、いいね♠
キミの能力は本当に面白い♣」

ヒソカの笑い声を背に私はもう1本ビールを開けて呷る。

「ハクレン、こっちに来てよ♥」

ヒソカがベッドの上で呼ぶ。
私はビールの缶を置いて、ヒソカの元へと歩み寄った。
ニコニコしているヒソカが膝に座れと、自分の膝を叩く。
ヒソカに背を向けて、私は膝に座った。
ヒソカはタンクトップの裾に手をかけ、それを脱がす。

「くっきり残ってるね♦」

ヒソカが私の背中に触れた。
背中には、もうほとんど見えないが5年前に負った傷がある。
その1つ1つを確かめるように、ヒソカは唇を落とした。
そして、右の肩甲骨にそっと触れた。
そこには、一際はっきりとした傷痕がある。
それはヒソカが残した傷痕だ。

「キミは随分強くなったね♠」

「そろそろ私を殺す?」

ヒソカの趣味は知っている。
将来強くなる可能性がある人を生かし、強くなってから勝負し殺害。
果実が熟れるまで待つ。
随分、面倒臭い趣味だ。

「それが、悩んでるだよ♣
珍しくこのボクが♥」

「それってまだ強くなりそうってこと?
これ以上頑張りたくないんだけど…」

気だるげに答えると、ヒソカはクツクツとのどで笑った。

「キミはボクがキミのことをどう思ってると思う?」

突拍子もない質問を私は不思議に思ったが、甘い痺れで鈍った思考が下らない答えを出してきた。
私は慌ててそれを掻き消した。

「青い果実兼性欲処理道具?」

そう言って後悔した。

「んああ!!!!」

鋭い痛みが背中のあの場所に走った。
逃げようとするが前に回されたヒソカの腕がそれを止める。
ギリギリと痛みが響くに背中に何かがつたう。
それは私の血だろう。
どうやら、何かが気に障ったようだ。

「痛い?」

笑っているのであろうヒソカの声が聞こえた。

「うん…」

素直に頷くと、ベッドにうつ伏せに寝かせれ、その上にヒソカの気配が重なる。
今度は生暖かいものが傷口を抉(えぐ)るように蠢(うごめ)く。

「いったあ…」

痛みに耐えかねて逃げようとするが、ヒソカの力にはかなわない。
ヒソカは執拗に傷口を攻めてきた。
私ののどから呻き声が止めどなく漏れた。

「キミはボクのことどう思ってるの?」

仰向けにさせられ、また突拍子もない質問を飛ばされる。

「…まず、私の言葉を信じてくれるの?
ヒソカ曰く変化系は気まぐれで嘘つき。
私も変化系なんだけど?」

痛みで汗だくになった額に腕を当てながら、ヒソカを見た。

「えっ…?」

その表情を見て、私は言葉を詰まらせた。
ヒソカらしくない、切なそうな、悲しそうな顔をしている。
その表情が演技なのか真実なのかわからなかったが、私はその表情に思い切り吹き出しそうになるのを抑えて、微笑んだ。

「信じても信じなくてもいい。
ただ、これだけは言っとく」

―大好き―

ヒソカの下からするりと抜け出して、私はそっと耳打ちをした。

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