a lethal dose of toxicant

□two drops
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ボクは2ヶ月ぶりにハクレンに会いに行った。
ハクレンは相変わらずだ。
強情で、素っ気なく、愛想もよくない。
おまけに、おしゃれの"お"の字も理解していない黒一色の服装。
料理もあの感じからして、まだできないと思う。
強さ以外は5年もの間何も変わらない。
5年前、彼女はごく普通の学生だった。
過去に執着しないボクだけど、あの時のことは、今も鮮やかに思い出すことができる。





5年前のあの日、ボクはイルミの紹介でとある国に来ていた。
その国は大国で、国際的な場でも大きな力を持っている。
その割には経済格差がとても大きく、貧困者が苦しむ国でもある。

仕事の内容はその国の政治家の暗殺。
依頼主は……忘れた。
イルミ曰くその政治家のボディガードがそこそこ優秀らしく楽しめるってことだった。
イルミは面倒臭がって、ボクにその仕事を回したんだろうけどね。
ボクも暇潰しを探していたから、丁度良かった。
だから、その仕事を引き受けることにしたんだ。

ともかく、ボクはイルミから資料を受け取って入国した。
資料によると、ターゲットは50歳の男性。
妻は10年前に他界しており、娘が1人いる。
屋敷は首都の郊外にあるとのこと。
ボクのお目当てのボディガードは、5人。
その他、屋敷の人員は50人程度。
夕方には全員が屋敷に戻ってくるらしい。
  
  
  
  
  
ボクは夜が更けるまでの暇潰しとして、街をうろついていた。
その時、図書館から出てきた少女がふと目に止まった。
本を小脇に抱えて、嬉しそうにしていた。
身なりを見て、貧しい暮らしをしているのはわかった。
その少女がハクレンだった。

突然、ハクレンが後ろを振り返った。
ハクレンに向かって1人の女の子が走り寄ってきた。
ハクレンの隣に並んだ女の子を見て、ボクは驚いた。
その女の子はターゲットの娘だった。
2人は何やら話をしている。
ボクはこっそり近付いて、会話の内容を聞いた。
どうやら、ターゲットの家で泊まり掛けで勉強をするようだ。

お気の毒に♣
キミを殺す予定はなかったけど、ボクの狩り場に迷い込んだのが、キミの運の尽き♥

ボクはハクレンの運命を嘲笑って、その場を去った。
  
  
  
  
  
夜がすっかり更けて、辺りが静まりかえった頃、ボクは屋敷に侵入を開始する。
回りくどいことは嫌いだから、正面の門から侵入を試みた。

「おい!貴様、何者だ!」

門番たちが一斉にボクに群がる。

10点、13点、21点、5点、39点…♠
全く張り合いがないなあ♣

ボクは盛大にため息をつきながら、こう言った。

「キミたちはこれで充分♦」

ボクはトランプを1枚取り出してみせた。

「は?何言ってるんだ、こい…」

吹き上がる鮮血が月明かりに照らされ、それはもう…とっても綺麗だった。

門番が殺られたと連絡が入ったのか、屋敷に入った瞬間、銃声が何重にも響いた。

「クラッカーでお出迎えかい?
それはそれは、御苦労様♠」

ボクは放たれた銃弾を全て、バンジーガム【伸縮自在の愛】で弾き返した。
ロビーは今のでボロボロになって、警備員たちのほとんどが虫の息。

その1人を捕まえて、主人の居場所を訊いた。
どうやら、地下室にいるらしい。
ボクは寄り道をしながら、地下室へと足を向けた。
  
  
  
  
  
「貴様か、妙な侵入者は」

地下室の前には大柄な男が5人いた。
この屋敷にいる中では強いが、ボクを楽しませることができるかどうかは別問題。

「クックックッ♣
少しは楽しませてくれると嬉しいなあ♥」

「フッ、楽しませる?楽しむ前に死ぬぞ」

別の男が口を開いた。
その目に殺意が籠るのを見て、ボクのボルテージはグングン上がる。

「いいね、その目♦ゾクゾクするよ♠」

ボクは舌舐めずりをして、彼らを見据えた。
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