a lethal dose of toxicant

□two drops
4ページ/4ページ


ボクは彼女の額に手を当てた。
その時のボクの表情を見たのか、ハクレンは小さく笑った。

「無茶したから、熱は上がってると思う」

「うん、上がってるね♠」

ボクはバンジーガム【伸縮自在の愛】を解除してハクレンを抱き上げた。
彼女の熱がボクの体に伝わる。

こんな体で動くなんて…♣
なかなかの無茶をするね♦

ハクレンをベッドに寝かせた。

「床で、いい」

虚ろな目でボクを見るハクレン。
でも、その目は情けはいらないと言っているようだった。

「ダメ♠
キミはボクの大切な青い果実だからね♥」

「果実?熟れたら食べられるの?」

苦笑をするハクレンはやっぱり利口だ。
ボクの比喩に気付いたようだ。

「うん、熟れたら食べる♣
だけど、熟れなかったら、途中で間引く♦」

「そう」

小さく返事をして、ハクレンは目を閉じた。

ボロボロだけど、やっぱりボクのオモチャ♠
こんなサプライズをくれるなんてね♣

ボクは彼女の成長がとても楽しみになった。
  
  
  
  
  
その晩、案の定、ハクレンは高熱に襲われた。
ガタガタと震える彼女に毛布をかけるが、焼け石に水。
額に手を当てると、彼女はうっすら目を開けた。

「起こしたかい?」

ハクレンは小さく頭を振った。

「起きてた…。寒くて、寝れないから。
水が欲しい…」

掠(かす)れた声で水を要求するハクレン。
ボクはコップに水を汲んで飲ませるが、唇の端から水がこぼれ落ちるだけで、ハクレンが飲んでいるようには見えない。
ボクは自分の口に水を含んで、彼女に口付けた。
唇のわずかな隙間から水を流し入れる。
ハクレンののどがごくりと動いた。
どうやら、飲めたようだ。

「ありがとう」

ハクレンの消えそうな声のお礼に頷いて、ボクはハクレンの隣に寝転んだ。
傷に障らないようにその体を優しく包み込むと、小刻みに震えているのがわかる。
「離せ」とハクレンの声が飛ぶ。
だけど、ボクの体温が伝わっているのか、その体から震えがなくなる。

「ダメ、このままで寝る♦
ほんとは裸の方がいいんだけどね♥」

「変態」

笑いを含んだボクの声に、ハクレンも苦笑を交えた返事をした。
それから、ボクらは静かな寝息を立てた。
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ