☆ Short Storys ☆

□友達からはじめよう〈完結〉
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紅白歌合戦も無事終わって、
年始の休みは実家で恒例のビンゴ大会。


2015年の仕事も順調に滑り出していた。


前半はのんびり充電させてもらえるらしい。




今日は、今年初めての釣りだ。


仕事の時は雨降ったり風吹いたりなんだけど、
休みの時はよく晴れる。


冬だから気温は低いけど、
風があまりなくて、なかなかの釣り日和だ。


ハワイでもちょっと釣ったけど、
こっちでは久々でわくわくする。


出航時間よりだいぶ早く着いちまった。



『ほんとにお願いします…
 今日じゃなきゃだめなんです!』


『そう言われても、
 もう貸切の予約入れちゃったから、
 いくらお馴染みさんでもねぇ…』



船長に向かって、女の人が一生懸命頭を下げていた。



「船長おはよーっす!
 今日もよろしく頼んます!」


『あぁ、おはよう、おーちゃん!
 待ってたよ。』



船長がオイラのところに来たから、
耳元で小さな声で聞いてみる。


「ねぇ、あの人、どうしたの?」


『いやぁね、お馴染みさんなんだけどさ。
 一度キャンセルしてきたから
 こっちの予定入れたんだけどさ、
 今になって急に来て
 やっぱり頼むって言われて…
 仲間うちにも聞いてみたんだけど、
 もう船あいてなくて…』


「そうなんだぁ…」



オイラが一人で貸切にしたから、
この人、釣りに出れないってことか?


今日じゃなきゃダメっていうのは、
なんか訳ありかなぁ。



今にも泣きそうな顔をしたその女の人が、
気になって仕方ない。

 
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