夢の町

□5…情報を
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「みなさん。」

最後に来た霧崎の人たちも体育館で一息つけた頃(向けられている視線は休めるようなものではなかったが)、赤司くんが体育館に響き渡るような声を出した。

一気にみんなの視線が赤司くんに向く。

「この不可思議な状況です。これから話し合いをしたいと思いますので、集まってください。」

ぞろぞろとこっちに人が来る(渋々って感じの人もいたけど)。

「小西、此処に座ればいい。」

さて、何処に座ろうかと悩んでいるところに宮地先輩が誘ってくださった。

「ありがとうございます。」

右隣は緑間くんだ。学年順になったな。

それぞれの学校が固まっており、輪のように全員が座り終えた。

「まずは、誰が来ているかの確認も含めて、簡単な自己紹介を。洛山高校1年、赤司征十郎です。」

「洛山3年、黛千尋。」

「洛山2年の実渕怜央です。」

「同じく2年の葉山小太郎だよ。」

「同じく2年、根武谷永吉。」

どこも学校でそろっているから分かりやすくしたかったんだろう。赤司くんの右隣に座っている人が赤司くんの次に紹介したから右に回って言っている。

そうなると、洛山の次は右隣の秀徳か。

「秀徳高校3年の大坪泰介だ。」

「同じく3年、木村信介。」

「同じく3年、宮地清志。」

私か。

「秀徳2年、小西千晶です。」

「秀徳高校1年、緑間真太郎です。」

「同じく1年の高尾和成です!」

秀徳の次は誠凛高校だ。

「誠凛高校2年の日向順平です。」

「同じく2年、相田リコです。」

「同じく2年、木吉鉄平だ。」

「2年の伊月俊です。」

「誠凛1年の黒子テツヤです。」

「1年の火神大我だ。」

…誠凛の次は、陽泉高校。

「陽泉高校3年の岡村健一だ。」

「陽泉3年、福井健介。」

「2年生の氷室辰也です。」

「同じく2年の劉偉アル。」

「1年の紫原敦。」

…次は、海常高校。

「海常高校3年、笠松幸男だ。」

「海常3年の小堀浩志です。」

「同じく3年の森山由孝だ。」

「2年の早川みつひ(ろ)っです。」

「海常高校1年、黄瀬涼太っス。」

…次に、霧崎第一。

「霧崎第一、2年の花宮真。」

「同じく2年の古橋康二郎。」

「瀬戸健太郎、2年生。」

「同じく、原一哉だよ。」

「同じく2年、山崎弘だ。」

…最後に、桐皇高校だ。

「桐皇高校3年の今吉翔一や。」

「同じく3年、諏佐佳典。」

「2年の若松孝輔だ。」

「い、1年の桜井良です。」

「同じく桐皇1年の桃井さつきです。」

…彼で終わりだ。

「1年、青峰大輝だ。」

「…よし、これで全員かな。大体把握したよ。」

なかなかに多いな。

洛山・陽泉・海常・霧崎は5人、秀徳・誠凛・桐皇は6人の計38人とは。

「早速ですが、情報を出し合いましょう。何があるか分からない世界にいきなり放り込まれたのです。些細なことでもかまいませんので、この世界で分かっていることは全員で共有したほうが脱出の可能性は高くなるでしょう。」

そう、この世界に関して私たちがわかっていることは多くない。

このメンバーにいろいろと思う人もいるだろうが、ここは全員で協力するのが賢明だろう。

「いっぺんに云うと分かりづらいので、学校ごとに順番にしていきましょうか。順番は、この体育館に来た順番のほうがいいでしょう。」

そうなると、私たちは二番目か三番目だな。

「洛山は、WCが終わって俺たちスタメンだけが集まっているときに何か黒い穴のようなものを見つけて、気づいたらこの体育館にいました。雰囲気が不気味だったのでとりあえず体育館の中を見ていたらステージの上にこの箱が置いてありました。」

「箱?」

海常の主将さん(笠松さん、だったはず)が呟く。

「はい。この箱です。」

赤司くんはそう言って箱を円の真ん中に置く。

「中に七台の携帯が入っており、カバーの色が全て違う。おそらく、それぞれの高校に一台ずつということではないかと思います。」

「どんな風においてあったんだ?」

霧崎の主将が問う。

「ステージの真ん中に、分かりやすく置いてありました。俺たちはこれ以外は体育館で何も見つからず、外に出ようかとしていました。そこに、桐皇と秀徳の皆さんが来ました。だから、俺たちの情報はこれくらいです。」

「それじゃあ、次は俺たちか。秀徳はWCの帰りに黒い穴を見た。きっと洛山が見たのと一緒だろう。」

…そういえば、何か忘れているような。

「起きたのは二階の教室だ。学校にあるような机と椅子、あとはロッカーときれいな黒板があった。持ってきていた荷物は何も無く教室も何もなさそうだったから廊下に出た。」

もう、いろいろと起きているから何を忘れているのかわからないな。

「俺たちが分かっていることは、此処に来る前に黒い穴を見たこと、此処はおそらく学校だということ、持っていたはずの荷物がなくなっていること、学校の外は砂漠のような景色が広がっていること、後は、月が二つあるようだということだ。」

そうだ!

「主将、いいですか?」

「なんだ、小西?なにか他にもあったか?」

「一応、なのですが。黒い穴が見えてから鈴の音がしたのも言っておこうかと思いまして。」

「そういえばそうだったな。他に何か言ってない事とか、ないか?」

他にか…

「そういえば、この学校は三階まであるようなのだよ。一階に下りる階段の横に上にいく階段があったはずなのだよ。」

そういえば、それもあった。

「他は?…なさそうだな。それじゃ、秀徳はこれくらいだ。俺たちは途中で桐皇と一緒になったから、次は桐皇だな。」

「わかったで。」
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