ようこそ,こちらの東京へ!【カネキ寄り】

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【カネキside】
どうしよう…まずいことになったな……。
朝食まで用意してくれるなんてこの人,凄くいい人だな。だけど…,
「……ゴクリ」
僕は目の前にある食事に生唾を飲む。頬を嫌な汗がつたうのがわかる。
…喰種である僕は人間の食べ物を食べることが出来ない。僕が食べられるのは……
「はい!コーヒー出来たよー♪」
「……!あ,ありがとうございます!」
彼女に珈琲を手渡せれ僕は現実に戻った。
「先食べてても良かったのに。あ,ミルクと砂糖自由に使っていいよ♪」
「あ,僕は大丈夫です。」
「ほーほー,ブラック派なんじゃな。私はミルク2つ入れないと駄目なんだよね(笑)んじゃ,私は食べるぜよ。いっただっきまーす!」
そう言うと彼女はとても美味しそうにサラダにあるトマトを頬張った。

……ただ,不思議なことが一つ。いつもなら人間の食べ物の匂いだけで吐き気が込み上げてくるのに…,どうしてだろう,彼女の作ってくれた朝食はいい匂いで…食欲が込み上げてくる。
…彼女には少し悪いけど,食べるふりをして後で吐き出すか……。
僕はそう思いながらインスタントの匂いが薫る珈琲を口に含んだ。……が
「……苦っ」
珈琲の苦さに僕は眉間に皺を寄せた。……え?苦い?

「あはは!なーんだ,ブラック飲めないんだね(笑)全く,かっこつけなくていいからミルクたちを使い給え。彼らたちもそれを望んでいるであろう( ・`ω・´)」
彼女は僕に笑ってそう告げた。

…だけど,僕は普通の砂糖やミルクは……。
可笑しい,今までブラックしか飲んでいなかった。普通に美味しかった。普通に飲めていた。なのに……苦い?僕はカップをテーブルに置き,フォークを握った。そして彼女と同様,サラダにあるトマトを刺し,口へと運ぶ。
…やっぱり,吐き気は襲ってこないが……少し怖い。
「……っ」
意を決して僕はトマトを口に含んだ。
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