バカな天才

□04
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昼休み、屋上


「……」

「……」

「なにそれ?」

メガネの茶髪男子、岸谷新羅が私の手に持つビニール袋を指差す。
ビニール袋ははち切れんばかりに、プリンやシュークリーム、パイやクッキー、エクレヤやロールケーキなど、が大量に詰め込んである。

「……いや、静雄と食べようと思って」

屋上には、昼休みは常に新羅と静雄が居る。

新羅は小学校が一緒で中学は別だが、静雄は小、中、高とずっと一緒という幼なじみだ。

「お前なんか今日あっただろ…」

流石幼馴染み…気付いてくれるとは…

「今日、嫌な奴に話しかけられた上、携帯無くした。」

朝はあったんだよ?
弟にメールしたし。

「だから、お菓子食べて慰めて。ってか、やけ食いに付き合ってよ」

「お、おぉ…。」

「私も食べて良いのかい?」

「…セルティに会わしてくれるなら。」

「⁉︎、も、も、もしかして双葉、君もセルティ狙いなのかい⁉︎そんなの「いや、単に友達としてだし…」そうだよねっ‼︎そうに決まってるよね!」

私の肩を掴み、確認する新羅に一言。

「私がバイではない限りね……」

「セ、セ、セ、セルティは、渡さないからねっ‼︎絶対、絶対、絶対渡さないから‼︎セルティと僕は結ばれる運命なんだからねっ‼︎」

冗談で言ったつもりが、、、
神羅は掴んだ肩をグワン、グワンと揺らしてくる。

「えっ、ちょ、冗談だって!酔う…酔うから‼︎やめてぇぇぇぇ‼︎」

……おぇ…。
すっごい気持ち悪い…。

「何やってんだお前ら…」

「って、静雄さん‼︎私が買ったのに何1番に食べちゃってくれてるんですかぁ⁉︎私も食べるっ!」

私は、シュークリームを取り、かぶりつく。

外はサクサク、中は生クリームとカスタードクリームの丁度いい味わい。

「ふふん♪」

「お前っていつも美味しそうに食うよな…」

「美味しいからね」

って‼︎静雄‼︎‼︎あんた、ほとんど食べちゃってるじゃんか!
あんなに多量に買ってきたのにぃ‼︎

結局、シュークリームとクッキーしか、食べれなかった…。

「あーあ、パイ食べたかったのに…なんでほとんど静雄が食べちゃったの?」

「それは、シズちゃんが怪物だからなんじゃないかな?」

静雄、新羅の声ではない男の声が屋上で響いた。

「臨也くんよー、なんでテメェが此処に居るのかな?屋上には来るんじゃねぇって言ってるだろ‼︎」

……おぉ。静雄が怒った…。

神羅にアイコンタクトで教室に戻ると伝えて、そっとこの場から、離れる。

「ハハッ!屋上はシズちゃんの所有地ではないでしょ?何言ってんの?あ…怪物には、言ってる意味わかんないか…」

–––ブゥン‼︎

何かが風を切る音が聞こえた。
そして、目の前の壁に机がめり込まれた。

あ…これ前に朝早く来て、屋上まで運んだのに…

まぁいいっか、とりあえず逃げよう!
巻き添いはごめんだし、折原くんがいるしね。

屋上の扉を引こうとした手が突然掴まれた。

……は?

「今日はシズちゃんに用はないよ。君に用があったんだ…河口さん。」

そう言って、掴んでいない手である物を持つ。

オレンジ色の携帯電話。

「それ!私の携帯‼︎」

手を伸ばし、取ろうとすると、携帯をヒョイと高く上げた。

「返して欲しい?そりゃそうだよね。だって、


君の秘密が書いてあるんらだもんね。」

耳に顔を近づけ、呟いた。

「‼︎‼︎」

私は手を振り上げ、折原くんの頬めがけて振った。

が、

スカッと避けられ、私を掴んでいた腕を自分の方へ引き、捻り上げた。
視界が折原くんから、静雄や新羅のへと変わった。

「⁉︎」

「シズちゃん、物投げてもいいけど河口さんに当たるだけだよ?」

はぁ?⁉︎何コイツ‼︎最低!

「……チッ。」

って、えぇぇぇぇ‼︎静雄‼︎失意損失しちゃってんじゃん!
助けてよ!

「さぁ!河口さん。移動しよっか!俺、君と仲良くなりたいからさ。色々知りたい事もあるし?」

「はぁ?嫌に決まってんでしょ–––い゛ぃ‼︎」

捻り上げた腕を更に上に上げ、痛みが走る。

「君に否定権はないよ?さぁ、行こうか!」

「っっ〜〜!」

捻り上げたまま、屋上を出て行く折原くんに付いて行くしかなく、どうしようもなかった。
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