STORY


□TALK
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ねぇヒョン、俺に初めて抱かれる時ヒョンはどんな気持ちだった?嬉しかった?それとも怖かった?

俺はね…んー、嬉しかった。ヒョンが俺を受け入れても良いって思ったって事でしょ。俺の顔ニヤニヤしてるんじゃないかって心配になるくらい嬉しかったよ。

あ、でもね。それと同じくらいドキドキもしてた。ようやくヒョンを抱けるかもってなって、心臓がバクバク鳴って、その音がヒョンに聞こえちゃうんじゃないかと思うほどだった。

キスをする度にヒョンの目はトロンとして、ドキドキしてきてどうしようって戸惑いながらも、目の前のヒョンはすごく色っぽくてさ、すぐに身体が熱くなっちゃったんだ。

首筋に舌を這わせれば、普段は聞けないような鼻に抜けた声を出して、ピクッとして可愛かった。

ヒョンは服を捲る俺の手を心配そうに掴んできて、それなのに目線は恥ずかしいのかどっかそっちの方を見ててさ、そういう表情の一つ一つがどこまでも俺を唆るんだよ。

「大丈夫、優しくするから」

不安げに下唇を噛むヒョンに、実際にはできない台詞を吐いたけど、どんどん可愛くなるヒョンを前に高ぶる衝動を抑えてよく冷静に宥めたなと自分を褒めてやりたいよ。


そうだ、ヒョンの肌ってどこに触れても気持ちいいよね。普段たまたま腕がぶつかったりした時も、ヒョンの肌って柔らかくてモチモチしてて、更にはいい匂いなんかもしてさ、いつまでも触っていたくなるよ。


ーーーーーー



ウヒョナと最初に…そうなった時のことは覚えてる。あの光景は忘れられるわけがない。


嬉しかったか怖かったか?そんなのどっちも、半々だ。…いや、怖さが7割か8割か、そんくらい。


ウヒョナも俺も少し酒が入ってて、酔いも回っていい感じだったんだ。なのにウヒョナが急にグラスを置いて深刻そうに下を向くから「どうした?」って声をかけたら「ヒョンが欲しい」なんて言うから俺は一気に酔いが醒めた。


一瞬訳がわからなくて笑ったら、どうやらマジだったみたいで機嫌を損ねてさ。機嫌を直すためにそういう事に及んだ訳じゃないんだけど、結果的にウヒョナの機嫌は直ったんだよな。


キスまではいいよ、それまでもしてたし抱き合うなんて恋人なら普通だろ?でもなぁ…、ああ、もうこの先は俺の口からは話せない。


ーーーーーー



あー、ずるいヒョン。これからがいいのに話したくないって?俺はヒョンの口から俺たちの初めてについてを聞きたかったなぁ。

ヒョンはあの時、まさかああなるとは思ってもいなくて、服を脱がせてもまだそんなに大きくなってなかったんだよね。

え、なにヒョン。そんなこと言うなって?


今思い返すと新鮮だなぁ。今なんて大きくなってないヒョンのを見る事なんてそう無いもんね。今はキスして暫くして脱がせばもうすっごい…、あ痛っ!ヒョン殴んないでよ、事実じゃん、ジ・ジ・ツ!


そういえばさ。怖いって思った理由としては、初めての事だしアッチの事かな。あれってやっぱ…痛いの?
ああ、やっぱり。そんな渋った顔してヒョンが言うってことは相当痛かったんだね。


最初は指だったけど、それでも?俺の想像では敏感なところをグニグニされて変な感覚なのかなって思うんだけど、今まで味わったことない感覚だよね、考えただけで下の方がゾワゾワしちゃう。あ、変な意味じゃなくて。


ねえヒョン、俺にもミカン頂戴よ。あーん。あ〜、うんまい♡


でさぁ、でさぁ、…あれ、なんの話だっけ。


ああ、超変な感じってやつね。それで回数を重ねた今は、ちゃんと気持ちいいのか気になってくるんだ。ヒョンが気持ち良くなかったらダメ、俺だけが気持ちいいんじゃダメだから聞きたい。


気持ちいい?本当に??
うん、それならいいんだ。ね、もう一個…あーん。


ーーーーーー

あー面倒臭い、わざわざ口で言うことじゃないんだから聞いて来るなって。
自分から言う訳ないだろ、事の最中に「気持ちいい」だの「もっとこうして」なんて女じゃあるまいし。


このまま聞いてくるなら、俺からも質問を出してみようか。どうしてこんなにその…2人の営みを事細かに聞いてくるんだ。


「ヒョンは…俺に挿れたいと思った事ないの?」


ミカンの最後の房を口に放り込むと、真面目な顔してこんなこと言われ不意打ちを食らった。何を言っているのかと、ウヒョナの顔を数秒間ぽかんと見つめてしまった。



俺が言葉を失ったまま見つめていると、スマホを見ながら口元だけ笑うウヒョナが目を向ける。


「ちょっと、なんか言ってよ」



ーーーーーーーー



あー、やっぱりヒョンは答えてくれない。
こんな風に露骨に聞かれて恥ずかしいだろうけど俺は不安なんだよ。ヒョンは好きだとか愛してるとか、俺とこうしたいああしたいとかも言わないから。


俺から誘ったり押し倒したりで、ヒョンはただ断らないだけなのかも。断られたくらいで嫌いになったりなんてしないから、正直な気持ちを聞きたいよ。


一度もヒョンから誘われないなら、もしかしたらこういう事好きじゃないのかも。

だってキスだけなら男も女も目を閉じたら同じだもんね。ヒョンはキス以上は求めてなかったのかも…はぁ。



ミカンの最後の一房もさっきヒョンの口に入ってしまったし、もう話を逸らすキッカケも無くなった。


「ヒョンは仕方なく俺としてるんじゃないの?」



ーーーーーーーー


目の前のウヒョナは目の奥がやけに冷静で、どうやらいつもの様な冗談ではないらしい。


どうしてそんな事聞くんだ?

ああ、まあ確かに、そう思わせる事もあったのかもしれないな。


普段俺の方からシたいと言わないのが、我慢したり無理してるんじゃないかと不安にさせてたか。


男ならあの温もりと快感は確かに、かなり魅力的だ。意識せずに声が漏れ出てしまう例えようのない心地良さ…。


でもそれだけじゃないんだよな、ウヒョナとは。


ついさっき気持ちいいかそうじゃないかを聞かれたけど、俺たちの場合は繋がることに意味があるわけで、俺は今のままでもいいのに。


ウヒョナにはあの時どうしてお前を受け入れたのかちゃんと伝えるべきか。


あの頃、体の繋がりも欲しいとか、実はそろそろ言われるんじゃないかって思ってたんだ。そう考えた時、どうすべきか悩んだよ。
俺には初めてのことで、痛みを伴う。もしかしたら痛みから逃げ出すみっともない姿を見せるかもしれない、ウヒョナが思ってたものと違うと幻滅する事もあるかも、とかな。


だけどそれを乗り越えて得られるものがあるかも知れない。やらずにいたらわからないだろ?
だから「欲しい」と言ったお前に応えたいだけじゃなく、俺もウヒョナが欲しかった。


ああ、そうだ思い出した。
あの日、俺たちの初めてが終わった後に、ウヒョナが心配そうに何度も大丈夫かって聞いてきてさ。痛みはあったけど聞く毎に大丈夫だって頷いてんのに、しつこいくらい何度も確認して来てさ。

あれがウヒョナなりの優しさだったんだろうけど、今思うと可笑しいな。


「あ、ごめんごめん、何笑ってるのかって?」


あの時、俺わかったんだ。俺丸ごと、ちゃんと愛されてるんだなって。


あー…なんか。


やっと答えが見つかったかもしれない。俺あの日さ、お前に抱かれて嬉しかったよ。

今ウヒョナが聞いてくれたから気づけたよ、サンキュ。



「ウヒョナ、俺は…これからも、お前としたいよ」





おわり、、、


にしてくれよ全く。



ーーーー



え、待って待ってヒョン。それ本当?

ね、ね、ねえ。…もう一回言ってヒョン!いま録音するからお願……痛テッ!だから殴んないでってば、いいじゃんヒョン〜♡



あ、じゃあ録音が嫌なら今から俺とシよ?ね、それがいい、そうしよ。




おわり
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