STORY


□二人部屋
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「ヒョン、2人部屋なんて久しぶりだね」

お風呂上がりタオルで髪を拭きながらヒョンの前に立つ。

ソファに座ってテレビを見るヒョンに、面白いから見てみなと言われテレビの方へ体を向けると、不意打ちで後ろから僕を抱きしめるヒョン。

腰に巻きつく腕の体温にとたんにドキドキしはじめて、うなじ付近にはヒョンの吐息がかかる。


「なぁ、このあとどうしたい?」


すぐ近くで掛けられた言葉と、その吐息に身体が震える。

「あっ、ダメ、ヒョンっ…くすぐったい…」


自分から触れるのは得意だけど急に触れられると恥ずかしくて照れ臭くって、弱いところに掛かる息がくすぐったくて、少し笑ってしまうムードぶち壊しの僕。

せっかく2人きりで居られる貴重な時間なのに、少しも我慢できなかった自分に悔しくなる。

触れられることも恥ずかしくなくなるベッドへ逃げたい。それなのに呆気なくウヒョニヒョンに手を取られ捕まってしまった。

「やぁ、…まだベッドじゃないだろ」


手の方へ振り向くとソファに座ったままこちらを見上げて、僕の目をしっかりと捉え見つめるウヒョニヒョン。

真面目な顔で見つめる目にドキリとして、そのあと少し笑って細くなるふにゃっとしたその目に、僕はまた恋に落ちた気分だった。

引かれるまま膝の上に座って、顔が近づく。それでも恥ずかしさから顔を背けてしまう。頬に伸びてくるヒョンの手に僕の気持ちはゆっくりと溶かされていく。

ああ、好きだよヒョン。

どうしようもなく好き。


言葉にできなくて抱きつくことしかできなくて、ただ黙って頭を撫でるヒョンの優しさに嬉しくて涙が出そう…。

「ヒョン…」



おわり


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