コート上の天使

□約束と小指の熱
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イライライライライラ…






「おい影山!練習、」

「うっせぇボケェ!」

「はああぁ?!ってドコ行くんだよ!」

「便所!」

「トイレそっちじゃねーだろ?!」





思い返せばいつもそうだった。

いいように丸め込まれて、はぐらかされて。


ふと思った。そいういところ、なんか及川さんに似てる、と。


一昨日も昨日も、納得できるような答えは聞けなかった。

相変わらず足速えし、




なんでだ


 
『もうバレーはやらないって決めてたの』



なんでだ



『私には相応しくないよ』




あんなにバレーやってたじゃねえかよ
なんでもうやらないとか言うんだよ



ベストセッターまで取って、チーム引っ張って…

じゃあお前以外誰がとれば納得するんだよ
優勝校のセッターか?

お前の方がうまいだろうが



スナップ音やボールカットの音

バレーには音がある


けど、ぎょーざのトスは静かだった。


どんなに高いボールが上がっても、どんなに回転してても、速くても

触れた瞬間の音はほとんどしない。

そして滑らかで、ボールの勢いを殺した無回転トス。


パッとしないスパイカー陣に打たせて打たせて点を取る。




「クソッ…」


俺にないもの持ってるくせになんでやらないんだよ…!











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