コート上の天使

□落ち着かない気持ち
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「おい」

『!と、飛雄…。えと、お疲れ』



俺たちは青城に勝った。


勝ったけど、すっきりしないのはたぶん、いや絶対…あの人のせいだ。




「なんでいるんだよ」



青城と練習試合するなんて俺言ったか…?



『あー…なんか、ごめんね。そんなに嫌がるなんて』


「!嫌がってはない!」

『あ、そう?』




こいつはずるい。

ぎょーざに謝られると何も言えなくなる。





『えーっと…及川さんに、』

「…!」

『及川さんにね、会いに来たの。ほんとは。』




さっきからすっきりしない対象


及川さん




ぎょーざと及川さん


そんなに話してたか?

仲よかったっけ…か?




俺の知らない
及川さんとぎょーざ


もやっとするのが自分でもわかった








『そしたら岩泉さんが見てけよって言ってくれたから…
邪魔にならないように見てたんだけど、』


「…」


『結果邪魔しちゃってすいません』




怒ってる?と控えめに聞いてくる



あぁクソ、






「…及川さんとどういう関係だよ」


『?どうもこうも、中学の先輩後輩でしょ?』



それ以外なにがあるの?と首を傾げたぎょーざ



あのな…そう見えねーから!




『あ、』




ぎょーざの声につられて後ろを振り返る。








「…なにしてんスか」




先輩と日向、少し離れたところに月島
なんかこっち見てる




「影山クン、修羅場ですか?」

「ちげーよ!普通に話してるだけだろうがボケ!」

「あんまりガツガツいくなよ〜影山」

「う…!」

「とりあえず空気凍らすのはやめてくれよな!」

「余裕なさすぎデショ王様」

「〜っ」






なんだ、よ。俺が悪いのか…?!





『あ、あの…!前回といい今日といいお騒がせしてスミマセン…っ!』


「そんなのぎょーざちゃんのせいじゃないべ。気にしないでいいよ」


「そ、そうっすよ!前回は影山のせいで、今日はあの優男が…!」




…田中さんはなんで年下のぎょーざに敬語なんだ、?


てか、俺のせい?





『…及川さんの分まで謝ります。ほんとすいませんでした。』


「ああ…!いいんだいいんだ!謝らないでくれ!」




澤村さんが慌てて言う。

ぎょーざに謝られるとなんか、悪い気がするのは俺だけじゃなかったらしい。




「どうする?俺たちこれからバスで烏野まで戻るけど、乗ってくか?」



澤村さんが声をかける。



『ありがとうございます。でも、及川さんに用があるので…』




用ってなんだ。



及川さんに何の…






『もう、怒らないでよ』

「!お、怒ってねぇ」

『顔コワイ!』

「もともとこういう顔だ!」




勢いでばーっと言ってから気づく。

こういうトコロなんだろうなってのはわかるんだけど、




『もう…せっかく勝てたんだからさ』

「…今日はほとんど及川さん出てねえからな」

『うん、まあ確かに』



あっさり認められた。自分で言ったけど、なんか悔しい



『でも日向くんとの速攻は効いてた。
やっぱ飛雄すごいね!普通あんなドンピシャなトス上げられないよ。さすが!』


「!!はあ、?な、なに言ってんだ、ボケ…!」




素直に褒めんな
またボケとか言っちまったじゃねーか!




『褒めてるのにな〜。

ねぇ、前髪汗でびちょびちょだし』




手が伸びてきて前髪に触れた。

少し冷たいぎょーざの指



そわっ




『汗ちゃんと拭きなよ?冷えたら風邪ひく』

「お、おー」

『なにどもってんの?』

「うるせー」




そわっそわっ





あークソ


なんか、




『お疲れ、』



そわっ、とする

こう…、ぞわっと

悪寒みたいに嫌な感じじゃなくて




「…おう、」





ぎょーざと居ると、ぎょーざが笑うと



そわっと、する。














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