コート上の天使

□スタートライン
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昼休みになり、教室も思い思いに机が移動されたり、がたがたと賑やかになる。



『眠かったねーさっきの授業』

「私寝てたー」

「ぎょーざちゃんそんなこと言っていっつも寝てないじゃん」

『あはは、話は全然聞いてない』



私もなんとなくできたグループでお昼を食べようとお弁当を広げていた。



すると賑やかな廊下が一段と騒がしくなった。


ドア付近に目を向けると、





『あっ…』



美人マネージャーの先輩がいた。



私が気が付いたことに相手も気づいたのか、ぺこりと会釈され、急いで廊下に出た。

普段見かけない美人に行きかう人が振り返るのがわかる。




「ごめんね、お昼に」

『いえ、全然…!』




真っ黒な髪に
眼鏡と口元のほくろ



三年生ってこんなに大人っぽいのか、とも思ったが
たぶんこの人が特別美人なんだ




「男子バレー部マネージャーの清水潔子です。影山から話しを聞いて直接会いたいなって」



と言っても何回か会っていて、申し訳ないことにその都度迷惑をかけている。



『焼きぎょーざです。印象悪いかもですけど、ぜひバレー部のお手伝いさせていただきたいなって…』




清水先輩はきょとん、として



「印象悪い?むしろ逆だよ」

『え、』

「可愛い子だなって」

『え、あ、』




…清水先輩に言われるとすごく恥ずかしい

返す言葉も見つからず、視線をうろうろさせるしかなかった。



「忙しくなかったら、今日練習見に来ない?」


『は、はい!ぜひ』

「じゃあ、また放課後迎えにくるね。あとこれ渡しておく」

『ありがとうございます』




白紙の入部届を受け取って清水先輩と別れた。










「ぎょーざちゃんなんか部活やるの?」

『うん。バレー。マネージャーだけど』

「あ、やっぱりバレーなんだね」

『やっぱり?』

「だって影山くんしつこく来てたじゃん」

『あ、あ〜…』



数日前まで続いていたやりとりを思い出して
笑うしかなかった。


いや、恥ずかしいのは飛雄だ。
私はなんにも悪くない。



















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