コート上の天使

□コートの熱
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『も、っ戻りました…っ!』



勢いで体育館を飛び出して家に戻った。

急に帰ってきてお母さんがびっくりしてた。



『私バレーしてくる!』




時間もないし、短く簡潔に言えば
呆れたように


あんたも好きね。好きなだけやんなさいよ


なんか嬉しかった。

シューズにゲームパンツやらをひっかき集めて、また学校に戻る。


家に滞在した時間は三分くらいじゃないか。









「やっと戻ったな。さっさと着替えてコッチ混ざれ」



烏養さんに急かされ、更衣室に駆け込む。

汗が止まらなくて脱ぎ着しにくい。



バレーシューズに足を突っ込んでふと我に返った。





私マネージャーだけどこんなことしていいのか



選手でもないのに、バレーやっていいのかな


しかも、木下さんや成田さんもいて、山口くんもいるのに


差し置いて私…




たらり、と汗が背中を伝って落ちた。



でも、

自分の足に馴染んだバレーシューズ
いつもの長ズボンじゃないパンツ



やっぱり好きだ。




顎の汗をぬぐって体育館に入る。













『潔子さん、すいません。私、』

「いいの」




一人でドリンクやらタオルを渡し終えた潔子さんに謝る。

マネージャーなのに自分の行為が外れてる気がして申し訳なかったが、すぐに制された




「私にはできないことだから。それに、皆楽しみにしてる。ぎょーざちゃんのバレー」




控えめに笑顔を見せてくれた潔子さんに背中を押された。







コートを見るとすでに人が入っていて、
あさひさんも戻っていた



相手コートにはスガさんと西谷先輩の他に見たことない人達…

と思ったけど何人か烏養さんの店で見たことあるような、ないような




「お前こっちでリベロな」

『え、』

「え!リベロ!」



日向くんの大きい声がする。




「セッターじゃないの!?」

『いやいやセッターは飛雄がいるじゃん…』




おい日向ボゲ!とか言いそうだけと、案外本人大人しかった。





「たしかに今西谷は相手チームにいるけど、」




大地さんはいかにも大丈夫か?って聞いてる


私もほんとに大丈夫かって思います
いくらなんでも、




「お前基本的にオールラウンダーなんだからいけるだろ」



しれっと言う烏養さん。



「オールラウンダー?」

「どのポジションでもできるってことだよ」

「すっ、すげぇ!焼きさん!」




期待を込められたキラキラとした目に思わず、うっと声が詰まる。


確かに中学はセッターだったが、それまではほとんどやってきた。


…ミドル以外は。




「とりあえず入ってみろ」



そういわれしぶしぶ頷く。

蛍くんからのサーブだからとりあえず外から始まった。









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