コート上の天使

□迷子二人
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「うおい!どこ行く!?」





ロードワーク中に飛雄と張り合ってそのまま姿を消した日向くん。



『私探すのでみなさん練習に戻ってください!』


「え、大丈夫?」



スガさんに心配そうに聞かれる



『一応この辺はよく知ってるので大丈夫です!』


「ったくしょうがねえな日向は。じゃあ頼むぞ」


「知らない人に付いてっちゃだめだからね」




…烏養さんまでは良しとして
スガさん、




『私ってそんな頼りないですか…?』


「頼りないとかじゃなくて!ほら、心配してんだよ」



ぽむぽむと頭を撫でられる。
スガさんは最近よくやる



『じゃあ、行ってきますね』


「おい、」



漸く探しに行こうとなったところで飛雄に止められた



『もーう、なに?』


「…知ってるヤツにも付いてっちゃだめだからな」



…はい?



『よくわかんないけど、わかった。』




飛雄のまるまるの頭をなでなでしてから
とりあえず日向くんが消えていった方面を探すことにした。















あれからしばらく探してはいるが、
なかなか見当たらない



あー歩き回ってると暑いなあ、



つい最近もらったバレー部の真っ黒い上着を脱いだ。



と同じタイミングで隣を歩いていた人も上着を脱いだ


思わずそっちを見るとなかなか特徴的な人だった

真っ赤なジャージ、しかも中のTシャツ黒
背は高い、すごく。そして髪の毛が立ってる。



『…あ、』


「え、。」



音駒ってジャージに書いてある

あっちも気が付いたのか
あ!と指差してきた



『ええっと、音駒さん、ですよね』


「ソッチは烏野ですよね」


『私1年マネージャーの焼きぎょーざです』


「へえ、1年。俺は黒尾鉄朗。3年だ」




あら、3年生だ




「突然で悪いんだけどさ、俺今困ってるんだよね」


『そんな感じは薄々…。
こんな所でお一人で何してるんですか』


「迷子」


『え?』



…迷子になっちゃった、とか
まさかすぎる



「迷子探してんの」


『あぁ、』


「ぎょーざちゃん一緒に探してくんね?」



いきなりの名前呼びは置いといて
迷子探しは私も同じだ



『奇遇ですね。私も迷子探してるんです。一緒に探しますか、”鉄朗さん”』



やられたらやり返す…!
普通に!



「あれ。見かけによらず気強いね〜」


『人は見かけで判断しちゃいけません』


「そーゆうの俺は結構好きだけど」


『そりゃよかったです』



鉄朗さんとあーだこーだ言いながらも探しだす。



『どんな人ですか、音駒の迷子さん』


「俺と同じジャージに金髪プリン」


『金髪ぷりん…』



赤ジャージに金髪プリン、

こんな田舎じゃすごく目立つと思うけど…






「がーって感じのやつ!!」







『ん?』


「どうした」


『今、聞き覚えのある声がしたような…』




日向くんっぽい声がする
近いのかも…!



声のしたほうへ早足で向かう




『あ、日向くん…!』



見つけた!と同時に


「研磨ぁ!」



金髪プリン…




「えっあ!焼きさんんんっ?!」


『探したよ、もう!』


「ご、ごめん…!」


『みんな戻って練習してるから帰ろう?』




すると、ぐっと頭に何か乗った

見上げると鉄朗さん



『あの、重い…』



かなり乱暴に頭を撫でられ


「またな、ぎょーざチャン」



と笑いながら金髪プリンさんと反対方向に歩いて行った。














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