コート上の天使

□デート(仮)
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『テーピングとコールドスプレーと、』



勝手がわかってるように店内を迷いなく歩いて回るぎょーざちゃん



『粉末スポドリもだ』


二種類手に取って成分じっくり読んで悩んでる顔見て思わず顔が緩む


『…なに笑ってるんですか』


「いーや?可愛いなぁって」


『バカにしてます?』


「そんなことないよ」



まぁ…外じゃ気づかなかったけど、若干顔色悪いのが気になるところだけど



『よし、レジ行きますよー』



「はーい」



会計済んで外に出る

さっきより暗くなってきた



「ほら貸して」


『え?』


「持ってあげるって」


ひょいとレジ袋を持てば
ありがとうございます って
ぴょこんと跳ねるように隣に並んできたぎょーざちゃんほんと天使



『…へっぷし!』


「えぇ!なに今の?!くしゃみ?」


『もうやだ及川さんうるさい!』



手の甲で顔を隠すぎょーざちゃん

あぁ俺の天使ってば本当に


「可愛いねぇ」


『今の可愛いはほんとにバカにしてます』


「ぎょーざちゃんは何したって可愛いんだよ」



着てきたパーカーを脱いで肩にかけてあげた

本人きょとん顔だけど、



「風邪ひいちゃったら大変でしょ」


『でも及川さん』


「俺はいーの。それに貧血気味なんじゃないの?」


『え、なんで…知って、』


「顔色あんまり良くないなーって」


そこまで言えば素直にパーカーの袖に腕を通し始めた


「ん、いい子」


『おっきい、』


「ほんと!それたまんないよね!萌え袖最高!」


『…及川さんって残念ですね、なんか』


「ひどいな!」


『でもあったかいです、これ。

及川さんの匂いするし』




爆弾投下




「…え?」


『さっきすごーい汗かいてたからうわぁって思ったんですけど、普通にいい匂いです』


「ねえぎょーざちゃん恥ずかしいんだけど俺」


『いっつも色んな女の子っぽい匂いするけど、今日は及川さんの匂い』





な に こ の 子 ー!




いつも素っ気ないくせに!
なんなの?!デレたんだけど!



ヤバイ、俺 完全に 骨抜きにされてる…!




『及川さん照れてます?』


「照れてるよ!悪い?!さっき恥ずかしいって言ったじゃん!」


『いつもの仕返しですっ』



満足そーににっこり笑ったぎょーざちゃん

あぁ…かわいい
やってること小悪魔だけどやっぱ天使



『でも、』


「ん?」


『いい匂いなのはほんと、です』



ぼそっと言って先に歩き出した





なんだか…
この一瞬で色んな顔を見た気がする


泣き顔ばっかだったぎょーざちゃんが、


照れた顔、むくれ顔、笑顔



やっぱり全部ぎょーざちゃんで




『及川さーん?』


「やっぱ天使だよね、」



完全振り回されてる気がするけど…



「ぎょーざちゃん」


『はい』


なんですか?と少し首を傾げる
そんな彼女を抱きしめた



『お、及川さんっ?』


「んー?」


『あの、』


「ぎょーざちゃん」


『は、はい』


「これからもさ、色んなぎょーざちゃん見せてよ」



泣き顔もイイけどさ


真っ赤に照れた顔も最高に可愛いし、
拗ねた顔も攻略したい
怒った顔、はちょっと困っちゃうかな
でも側で見てたいと思うし

それで



「俺の天使でいてね」



よくわかんないって顔してるけど
それでもいいや



不意打ちでほっぺにちゅーすれば
顔真っ赤にして怒られた



「照れちゃってかーわい」


『ほんっと恥ずかしい人ですね!』



デート(仮)


なんてどうかと思ったけど、
案外 ちゃんとデート気分だ


でも今度は正真正銘のデートがいいなぁ



.

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