コート上の天使

□ガールズトーク?
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「おう山口!お前彼女いるか?」

「えっ!?」


部室に入るなり田中さんに聞かれた。

後で縁下さんが 後輩にまで絡むなよ、と呆れた顔をしてる。


影山は我感せずといった感じで着替えてる。


部室には俺をいれて4人だけ。




「えっと、いないですけど」



彼女 とか、
ちょっとあんまり想像つかないな



欲しくないとかじゃない
むしろ憧れはある



けどそういうのに無縁すぎてよくわからない。





「そうか…やっぱ部活ばっかだしな」

「はあ、そうですね」

「じゃあ好きなヤツとかは?いるか?」




なんで急にこんな話しだしたんだろう
彼女とか好きな人とか




「いないですけど、」




俺の周りはツッキーのこと聞いてくる子くらいだし、


「田中さんは清水先輩ですか?」




深い意味もなく
相手に話を振ろう

それだけ思って言ったことだった




「馬鹿お前…っ!潔子さんはそういうんじゃない!!」


「えぇっ」


「好きだなんて恐れ多い…!潔子さんは、潔子さんは女神であり憧れ!」




パンイチで熱弁する田中さん
すごい拘り、というか、


案の定縁下さんの顔が酷いことになってる。



影山は、
あれ?



「か、影山…?」



バッグに手を突っ込んだま静止していた。


「ど、どうしたの」




「いや…好き、ってどういうことかなって」







静寂


沈黙


水を打ったように静まり返るって
たぶん今みたいなこと




「か、影山?」



縁下さんが焦って話しかける



あの影山から
好き ってどういうことかって出てくるなんて

どういうこと?!




「お前っ、え、お前影山だよな!」

「はあ、何スか?」

「お前好きなヤツいんのか!?」

「好きっていうか、よくわかんねぇっス」



よくわからない、らしい


田中さんは大興奮

縁下さんもさっきまで呆れ返っていたのに、まさかの爆弾投下にオロオロしながら影山の話を聞こうとしてる。


「まっ、まずはだな…お前今どういう状況なんだ?」

「?別に、」

「なんで好きがどうのこうのになるんだよ!お前がそんなこと言うなんてヤバイ状況なんだぞ!」



はあ?って顔した影山


ちょっと考える素振りをしてポツポツ話し出した。



「そいつのことは、前から知ってるはずなんスけど、」

「おう」

「最近なんて、いうか…周りに、あの、その、」

「っんだよ!言っちまえ!」




「キラキラが…見える、です」



不自然な敬語


それに、
キラキラ…?


「…キラキラ?」

「っス」



再びの静寂




「えっと、」

「それ、完全な」

「恋だな!!」



ズビシィィと指を突きつけた田中さん




「はあ…恋、ッスか」

「なんだお前!恋だぞ!好きな子がいるってことだぞ!」

「好き、」




好き



なんだかこっちまでふわふわとした気分になる。


本人も心なしかソワソワしてるみたい




「そうかそうか、影山にも春が来たのか!」

「?もうすぐ夏じゃないっすか?」

「そういう意味じゃねぇよ!」


「どんな子なの?影山が好きな子は」




縁下さん、
にこやかに聞いてるけど
ちょっと、面白がってる…?



「どんなって、」

「可愛いか?」

「はあ、と思います」

「なんだよソレ」

「で、キラキラしてるんでしょ?」




これまた縁下さん


影山は顔を真っ赤にして視線を泳がす




俺はなんとなく予想がついていた


いつもの感じと
前から知ってるって言ってたし



みんなが認めるあの人、だと思う







「ちわーっス!!!」


大きな音を立てて日向が部室に入ってきた。



「あ、影山!焼きさんが外で待ってたぞ」

「!すぐ行く」




あぁ、なんてあからさまなんだろう


ドタドタばたばた



「影山!シューズ忘れてる!」

「悪い!」



いろいろ焦ってシューズを持ってくのも忘れてる


嵐のように影山は部室から消えてった。




「うん、頑張れって感じだね」



縁下さん
たぶん、俺と予測は同じな気がする



「にしても、どんな子なんだろな!」



田中さん
たぶん、気づいてない



「え?何の話ですか?」



日向
たぶん、なんにもわかってない




「日向!お前彼女いるか?!」

「かかか彼女っ?!」




ほんと、
なんでこんな話に




「試合前に彼女からお守りもらって頑張れって言ってもらいたいんだって」



解説してくれた縁下さん


なるほど、と納得


その後
日向と田中さんは騒ぎまくって縁下さんに怒られた





めでたしめでたし、、、?







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