コート上の天使

□ハプニング
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圧勝

そして圧巻




完璧にシステム化されたブロック

ここまで完成されたリードブロックは県内では他にないんじゃないか


相手校のスパイカー、いや
セッターが気の毒になる



でも

勝ち目がないわけじゃない
点をとる力はうちのほうが上

それに、伊達工はたぶん
あさひさん因縁の相手


なんとか壁を打ち抜いていかないと


初戦突破したみたいだし、早く皆に会いたい






会いたい、んだけど



「1年生?どこのマネ?超可愛いね!」
「烏野?あーダサい渾名付いてるとこね」
「とりあえず番号教えてよ」




いや、誰ですか?!
ジャージに学校名書いてるけど知らないし!




『あの、急いでるんですけど』

「大丈夫だって、次の試合まで時間空くし」



その時間すらこっちは惜しいんだって
なんのために私データ取ってたの?

てゆうか、
お前らなにしにここに来たわけ



そのまま言葉が出そうになった時
ぐっと後ろに腕を引かれた




『へ、』

「すいませーん、コイツ俺のなんで」



あれ、と思ったころには



「げ、伊達工…」




お兄さん方は撤退していた。



見上げればさっきまでコートにいた人。
さらっとした茶髪




『あの、』

「うわぁ、あいつら一回戦負けのとこじゃん、何しに来たんだよ。
しかもナンパするなら自分の顔面確認しとけって」



なっ

と急に振られて変な返事しかできなかった。



伊達工6番
二口さん



『あの、ありがとうございます』

「あんたうちの試合見てただろ」

『えっと…はい』

「ふぅん、偵察ってわけ」




わー、そうです偵察です

べつに悪いことしてるつもり無いのに、
上から見下ろされて
やっぱり大応援団のすぐ横に陣取ったのは失敗だったか…!と後悔した





「ちょちょ、ちょいちょい…!」



声が聞こえて振り向くと



「げ、茂庭さん」

「やめなさい!相手校のマネージャーになにやってるんだよ!」



主将でセッターの茂庭さんだった
すごい日頃から苦労してそう
そのせいで勘違いしてらっしゃる


『あの、違うんです、むしろこっちがお世話になったんです』

「え」

『困ってるところを、助けていただいて…』


ナンパされたところを助けられた
とはなんだか言いにくくて濁した。



「茂庭さん酷いっすよー、俺か弱い可愛い女の子を助けてただけなのに」


二口さんは頭の後ろで腕を組んで
若干笑いながら言う

なんか、誰かとダブって見えたけど
誰かを考えるのも止めた


あ、
急いでるんだった私


『本当にありがとうございました』



頭下げて失礼しようとしたら



「よろしく言っといてよ。おたくのエースと10番くんにね」

「こら、性格悪いこと言うな!」

「いてっ」



10番くん…

日向くんだ



どうやら最強の囮は
仕事してるみたい


「あ、あと」

『 は、はい』


完全に背を向けた時だった
声をかけられ振り返る


「あんたあーゆうの珍しくないんだろ?」



あーゆうの…
たぶんナンパ



「あしらい方、覚えたほうがいいんじゃねーの?」

『は、はぁ…気をつけます』


ま、俺がまた助けてやってもいいけど



言い残して
茂庭さんに連れられて行った。


悪い人、ではないみたい。



2人はあの背の高い7番と合流した。



伊達工、

勝ち目は
十分にある


彼らの背中を見ながら息を吸い込んだ。


よし
烏養さん探して報告だ


バックを担ぎ直して目立つ金髪を探して走った。







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