コート上の天使

□3人目
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教室に行けば
寝癖ついている人
もうお弁当を食べている人
寝坊してすっぴんだよーって言っている人



『仁花ちゃん』


私に話しかけてくれる人


って…!



「は、はいぃっ」


『おはよう』

「お、おおはようございますっ」


ごめん、なんかびっくりさせた?



笑う焼きさん、いや
ぎょーざちゃん

仲良くしてくれて、そう呼んでって



朝なのに
やっぱりアイドルだ
完璧に
とても可愛い




『あのね、』



朝練の後なはずなのに
さわやか
眠い、とか
疲れた、とかないのかな…?



小ぶりだけど型の良い唇が動く

珍しいなあって思ってハッとする

無口な印象なんてないのに、寧ろ色々な人と別け隔てなく話しているところをよく見るのに
どうしてそう思ったんだろう



あ、そうか
ぎょーざちゃんが好きなバレーの話をしているから
沢山しゃべっているように感じるんだ



…楽しそう
普通にしていても眩しいくらいなのに
バレーのことを話してるぎょーざちゃんは
本当に可愛いのだ

女の私でもクギ付けになってしまいます…




あれ、
そう言えば
なんで私、バレーの話を聞いているんだろう?





『って、ことなんだけど…どうかな?』

「へ、!あ、うんっ」

『ほ、ほんと…?!』




正直なんのこっちゃわかっていない
私ってばぎょーざちゃんのお顔ばっかり見て
肝心のお話を何にも聞いていなかった…!


人の話も満足に聞けないなんて…!




『無理、してない?大丈夫?』



さっきの楽しそうな顔から一変
申し訳なさそうな表情


心配をかけてしまっている…!



「だ、大丈夫!ほんとに、」


ぶんぶん頭を縦に振ったら
くらくらした


でも



『ありがとう…!』



みんなを紹介させてね


って

めちゃくちゃいい笑顔で


あ、もう
騙されていてもなんでもいいやって思いました





数時間後
すっごい美人先輩とアイドル天使に挟まれて私は男子バレー部の皆さんにガチガチに緊張しながら自己紹介していました。









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