コート上の天使

□そうじゃない
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「木兎ザンネーン。ぎょーざチャン来てないって」
「なんだとおおぉ!」



戻ってくるなり一言目がそれ
他にないわけ?



「でも女子マネ増えてた!!!可愛い系!」

「虎うるさい、」



「ってことで、残念だネ研磨」


なにそれ

意味わかんない
別に俺はそんなんじゃないし
ぎょーざとは前回話した
っていうか勝手に話しかけてきたけど




「でもお前話しかけられて逃げなかったんだろ?」
「逃げ、てないけど」
「それって、そういうことじゃねーの?」




そういうことじゃないよ
そうじゃない



でも





「…辞めたの?」
「気になる?」
「…」
「まあまあそんな拗ねるなって」



拗ねてない
聞いたのに質問してくるクロが悪い



「いや、俺もまさかと思って聞いたんだよ」



澤村クンに怒られたけど

って




「そんなわけないだろ!みたいな」
「…ふぅん」



余計よくわかんないな
辞めるわけ、ないとは思ってたけどさ



……絶対来ると思ってたから





「…で、結局なんなの」



聞けばにやにやしたクロ

そーだそーだって後ろで木兎さん




「家庭の事情、だってサ」







なんだ
何もわからないヤツじゃん




「なんだソレ!」



木兎さんが言う通り、かな
でも
わかる気がする

ぎょーざがそう言ったのが



どんなに仲良くても
踏み込めない領域

家庭




つまりは
ちょっとほっといてほしいってことなんじゃない?

何があったかは知らないけど





「会いたかったぜ…美人で、優しくて、バレーできるマネージャー」



がっくり肩を落とす木兎さん


クロから聞いているんだろうけど
木兎さんはいろいろ期待し過ぎだと思う



「な、赤葦」
「はい?」
「お前も会いたかったよな?!」
「ああ、はあ」
「反応薄い!」




何時ものが始まって
戻ろうとしたら

でも、と
赤葦の声



「孤爪が他人に興味を示すのは珍しいから、そう意味でどんな人かは気になりますね」



だから、

「そんなんじゃないから」
「そう?」



赤葦もクロもめんどくさい
そんなんじゃない





「じゃあさ、研磨的にはぎょーざチャンってどんな子なの?」



まためんどくさい質問してくるクロ



めんどくさいって思いながらも
ぎょーざが浮かんできたから、しょうがなく考えてみる





「…疲れそう」


「え?」
「なにそれ」




だって
翔陽みたいのがいて
あのセッターがいて


バレーすごい好きそうで
でもなんか我慢してそうに冷静に振舞って




「…よく見えてるから。そんなの疲れそうじゃん」



その質問を最後に俺は逃げたけど、
あっちではまだぎょーざの話は続いているみたいで、少し聞こえてくる




「黒尾的にはどーなのよ、ぎょーざちゃん」
「そうだな…」


少し間があって



「イイ女って感じ」




思わずずっこけそうになった


こんな下らないことばっかり言ってるから
来なくて正解だったかもよって





ここには居ないぎょーざに言ってみる。










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