幸せの温度

□W
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ハルは真っ暗な廊下を走っていた。

後ろからは男達の声が聞こえてくる。

逃げなければ。逃げて、彼らに復讐をしなければ。

ハルは走り続ける。
すると行く先から光が見えてくる。

出口…とにかくあそこから出て、まずは生き延びなければ。

しかし、光は手前の何かの山に遮られる。

近づいていくと。

『…っ!!』

それはかつての友人達。

変わり果てた姿で積まれている。


死体の山がもぞりと動いた。
下から手が出てきて、1人が這いずり出した。

それは最後ハルと残っていた少女だった。


「…許さ無いから。」

『…!』

ハルは思わず後ずさろうとして、後ろの気配に気づいた。

いつの間にか後ろにも人が立っていた。
それは、殺された他の友人達。

皆、ハルを虚ろな目で見据える。

「…許さ無いから」
「許さ無いから…」
「許さ無いから」
「許さ無いから…」

口々に言い、次第に大きくなっていく。


ハルは光の方へ向かおうとするが、行く手はすぐに阻まれてしまう。

次第に彼らに覆い被さられ、埋まっていく。
ぬるりとした感触、死臭。

ハルは必死に足掻くが次第に光は見えなくなっていく。

『…っ!っ、』

声は出せ無い。

誰か、助けて、、ここから出して…
怖い……怖い……!!!



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