幸せの温度
□Y
1ページ/7ページ
十「あ、おかえりー」
ア「おかえり」
バーに戻ると十束とアンナはカウンターの椅子に座りお茶をしている。
周防は起きてソファに座り煙草をふかしていた。
草「ただいま」
『……』
ハルはこくり、と頷く。
ア「ハル、服似合ってる」
『…』
ハルは照れた様に下を向いた。
アンナは少し微笑んだ。
ア「どういたしまして」
十「アンナはハルと会話できていいなー」
十束が羨ましそうに言うと、ハルは思い出した様に荷物からノートを取り出した。
『草薙さんに、買ってもらいました。
服、貸してくれてありがとうございました。』
その文を見て十束は嬉しそうに笑った。
十「うん、よく似合ってるよ。
どういたしまして。」
草薙はカウンターに入り、ハルにもカウンターの椅子に座るよう促す。
草「さっきの、聞いてもええか?」
十「さっきの?」
草「ハルに何があったか、聞こうと思ってな」
ハルは小さく頷いて、ノートの新しいページを開いた。
『全部は、言えないです』
草「分かった。言える範囲でええよ。」
そうして、ハルはノートに文字を書き始めた。