幸せの温度

□Z
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…また、ここ…

真っ暗な廊下。

ハルはその廊下にぽつんと一人、立っていた。

前の様に、後ろから追いかけてくる気配はない。


前に進んでいく。

するとふと、人が現れた。

「許さないよ。」


それは最後まで一緒に残っていた少女。
しかし顔の腐敗が進んでいて声で彼女だと分かるだけだった。


「あっさり逃げ出して、優しい人たちに匿われて、美味しいご飯、暖かな部屋に布団、綺麗な服。
ハルだけが、良い思いをするなんて、許さないよ。」


『…!』

気付くと周りにはかつての仲間がハルを囲う様に立っていた。
皆、腐敗していて、誰が誰だかは分からなかった。

「もっと早く、逃げ出してれば」
「ハルだけずるいよ…」
「うん、ずるい…」
「私たちも出たかった」


口々にそう言って、迫ってくる。

次第にハルを囲む輪は小さくなって、どんどん潰されていく。

嫌…、助けて…



『……!!!』

はっと、目を覚ます。

…また、夢。



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