幸せの温度
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急いで病室に向かうと、赤城と千歳がすでにいた。
坂東は、ベッドに寝かされている。
幸い、命に別状は無かったようだが、右足右腕の骨が折れて、脇腹にも切り傷があるらしい。
坂「草薙さんたち、すみません…迷惑かけて…」
坂東は申し訳なさそうに言った。
十「気にすることない、坂東のせいじゃないよ。」
意識もある坂東にひとまずほっとするが、一番後ろにいた周防が低く尋ねた。
周「…誰にやられた。」
坂「分からないんです…店に向かってる途中で声をかけられて、振り返ったら突然…知らない男達に…」
草「なんて声かけられたんや」
坂「吠舞羅のやつか?って。
それで、振り返ったら突然殴りかかってきたんです。」
草「男って特徴とかあったんか」
草薙が尋ねると、坂東は思い出すように目を閉じた。
坂「なんか、やたらと磨かれた革靴…履いてて…服は白だった気が…ロングコート?いや、白衣みたいな…
すみません、顔までは覚えてないんですけど…何人かいて、皆んなそんな感じでした。」
『…!』
ハルは静かに目を見開いた。
よく磨かれた革靴に、白衣。
それは、何年も変わることのなかった男たちの…
自然と体が震える。
ア「…ハル?」
ハルの異変に気付いたアンナが心配そう見上げるが、ハルは静かに首を振るだけだった。
草「…今一つ、犯人像が分からんが…俺も調べてみるわ。無理せんと、しっかり休んどき。」
ひとまず、坂東は怪我さえ治れば大丈夫そうなので、それぞれ挨拶をして帰ることになった。