幸せの温度
□V
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ハルの身体には全身と言っていいほど至る所に痛々しい痣がついていたのだった。
十「……アンナ、拭いてあげるのはやってもらっていいかな?」
ア「うん、」
アンナはそっと、ハルの身体を拭いていく。痛くないように、慎重に触れているのがよくわかった。
ア「背中も、…!」
ハルの背中を見たときアンナの動きが止まった。
十束も不思議に思い、覗くと、ハルの背中には左右の肩甲骨から羽が生えている様な模様が描かれていたのだった。
ア「…これ、痛くない?」
アンナが聞くとハルは頷いた。
同じ様にそっと拭いていく。
アンナの恐る恐るだが、優しい触れ方にハルのこわばっていた肩はほんの少し力が抜けた様だった。
十「アンナ、ありがとう。
あとの手当ては俺がするから、草薙さんたちのとこに戻ってていいよ。」
ア「でも…」
十「じゃあ、この桶、どこに戻せばいいか草薙さんに聞いてきてくれないかな?」
ハルの傷はあまりにも痛々しくて、これ以上アンナに見せるのも酷だと思ったのだった。
いくらアンナがハルを気遣っていたとしても。
ア「…わかった。」
そう言ってアンナは部屋を出て行った。