衝動という名の魔法
□リーマス・ルーピンの長所と短所
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「デイジー...」
優しく諭すような声でリーマスが再びデイジーの名前を呼び、デイジーの顎先をつまんで持ち上げたので、デイジーの視線はおのずとリーマスの方へ向いてしまった。
「妬いたの?」
嫌っ、と振り払おうとしたが、予想だにしなかったリーマスの言葉に、デイジーはカチッ、と固まってしまった。
うるんだ眼を見開いてデイジーはリーマスを見上げた。いや、見上げようとしなくとも身長の差で自然に上目使いになってしまうのだが。
「少しは特別扱いしてほしい?」
自分の体が火照ってくるのが分かる。
満足そうな笑みをその端正な顔に浮かべるリーマスに、デイジーは尋ねた。
「聞いてたの?」
またもや意味ありげに苦笑するリーマスに、デイジーは怒りやら安堵やら恥ずかしいやらわけの分からない不思議な感情を抱いた。
「腕をかして」
リーマスはそう言うと自分の首にデイジーの腕をまわし、次の瞬間デイジーを持ち上げた。
顔を真っ赤にするデイジーに、リーマスが自分を納得させるようにそっと囁いた。
「デイジーがあんなかわいいこというからいけないんだよ」
その一言でパニック状態に陥ったデイジーを抱いたまま、リーマスはグリフィンドール寮へ向かったのだった――。
(2015.7.12 * Fin)